ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.97より
台湾で、低レベル放射性廃棄物最終処分場の予定地として、台東県の達仁と澎湖県の望安が候補地とされた。経済部(省)は、賛否を問う住民投票を来年にも実施するという。 「メール1通で、核処分場を止めよう」 主催:パイワン族反核連盟 核処分場に反対する理由 (作者:アルイ勇士) 1 キリスト教徒として、主が世の中の邪悪と不平等を制裁して下さることを信じている。主は正義の味方である。主のそばにいれば、獅子の巣に放り込まれても怖くない。キリスト教徒はイエス様に倣い、キリストの心で人を愛し、世界を愛する。世の中の不平等と戦い、邪悪な企みを阻止するのは我々の責任である。 2 一人の父親として、子供を守るのは我々の責務である。子供に安全かつ健康な生活環境を与えたいのは本能である。子供が飴をほしがるときに毒を与え、魚を食べたがるときに毒蛇を食わす親はどこにいるのだろうか。我々は父親として、力を尽くし、子供の生存権を守る。 3 一人の教育者として、教育は愛と模範を子供に示す以外ほかならないものだと考える。子供に魚を与えるばかりで釣りを教えないのは通らない道である。給食の助成金を与えて、地道な努力と向上心を教えないのは間違いだ。ある恥知らずの政府トップは「核処分場の補助金は天からのプレゼントだ」と言った。この言葉を聞いた学生に、どうやって「恥を知る」「タダの昼飯はない」という教えを伝えたらいいだろうか。拒絶能力を持たない子供たちは大人が選んだ「公務員」に裏切られた。我が生徒よ! 先生は涙で言葉も出なくなった。君たちの輝かしい未来は無知で貪欲な大人によって悪魔に売られた。 4 一人の安朔村民として、歴史を忘れることができない。1000年前我々の先祖Culelj一族は山を越えてこの地で集落を作り上げた。300年前、大亀文王国Ruvaniyaw王の協力の下にQinaljanに移住したが、1940年に我々はこの地に戻ってきた。今日に至るまで、この町はqaqidun、vuvu、ama、inaたちの努力によって栄え続けてきた。この地は我々の居場所だ。母語と文化を育む故郷だ。我々の家はここにある。我々のルーツはここにある。この地を守りたいのは当然だ。親愛なる集落の同胞よ。世界中で最も危険性の高い核廃棄物をお隣の南田村に放置することを許せるのか。安心な暮らしができると思っているのか。 5 パイワン族大亀文王国の後裔として、南田集落の所在地は古くから大亀文王国アランイ社の固有領域であることを確信している。パイワン族がこの地域の自然主権を持っているのは疑う余地のないことだ。もし、経済部がここに「核廃棄物最終処分場」を設置しようとするならば、南田集落全員の合意を得ることはもちろんのこと、大亀文王国23ヶ所集落全員の許可と全国12個の郷(町)に点在するパイワン族全員の了承も得なければならない。パイワン族の伝統には多数決という投票制度が存在しない。全員同意の合議制しかないのだ。このしきたりを守れなければ、経済部は原住民族基本法に違反することになる。 6 知識者として、南田と旭海の間に豊かな自然景観と文化遺産を有する「アランイ古道」のことを知っている。そこは保護動物アオウミガメとヤシガニの最後の生息地だ。特殊な砂丘と巨岩灘が広がる海岸には、タコノキ、瓊崖海棠、鉄渋木、樹蘭、台湾海藻などの植物が茂る原始林が立ち、パイワン族の古代集落と先史時代の文化遺跡が点在している。パイワン族の大亀文王国、知本のプユマ族、恒春のアミ族、東海岸パイワン族、スカロパイワン族、平埔族、オランダ人、清の兵士が、この通路を使って移住、結婚、戦争をくり返してきた。その足跡は歴史に刻まれ、多様な文化を育んだ。この雄大な景色は観光産業の発展上において最大の武器である。しかし核廃棄物の処分場は全てを壊滅させるのだ。 7 達仁郷の住民として、太平洋に面する安朔村と南田村の海岸にある国際的に有名な台湾国宝、南田模様雅石の存在を知っている。県と役場は特徴性のある地元産業を確立させるために、積極的に南田石産業の発展を進めてきた。処分場の設置は石産業の将来性を完全にぶち壊す。達仁郷は「南田石の里」「毛ガニの里」から、「核廃棄物の里」になってしまうのだ。達仁郷の出身者は人前で堂々と自分の出身地を言えなくなるだろう。「達仁郷」という三文字は恥じらいになってしまうだろう。 8 台東県民として、台東県の世界級自然風景と文化財を誇りにしている。素朴な県民と高品質な農産物、聳え立つ山と清らかな川、青い空と紺碧な海が我々を囲んでいる。ここは台湾最後の浄土だと言われている。その観光産業のポテンシャルは計り知れないのだ。達仁郷は本県の玄関口に当る位置に所在している。観光客が台東県に入るとき、真っ先に向かうのが核処分場だとしたら、本県の観光産業は大きくイメージダウンするだろう。食品生産、レストラン、ホテルなどの関連企業も処分場の設置によって台東から遠ざかっていくだろう。その損失は決して補助金では埋まらないものだ。台東県はなぜ核廃棄物を背負わなければならないのだろう。国のために、台東県のランユ島はすでに20年以上廃棄物との共存を強いられてきた。これ以上のものを我々に押しつけるつもりか。我々を人間視しているのか。 9 台湾の国民として、原住民族は台湾最初の支配者だということを知っている。国は原住民族を尊敬し、その生存権を保証しなければならない。しかし政府は再三権力を駆使して、マイノリティである我々を威圧してきた。むちとあめをちらつかせ、原住民族を用いて原住民族を制すという殖民的な手法で、漢民族のゴミである核廃棄物の処分を強要してきた。最初のターゲットはランユ島のヤミ族だった。今は我々が狙われている。次はどの族が被害者になるだろう。国民は恐怖から回避する自由権を持っているはずだ。処分場は国民に永久的な恐怖を与えてしまうため、人間が居住する場所であればこのような毒物を放置するべきではない。台湾が本当に人権を大事にしている民主国であるならば、核廃棄物を無人地域に処分し、いち早くクリーンな代替エネルギーを開発すべきだ。 ★ イベントへの参加方法:経済部国営事業委員会のHPで「選択低放射性廃棄物最終処置施設選祉作業資訊」から「建議候選場址?選報告書面意見表」をダウンロードし、台東県達仁郷南田村の処分場設置への反対意見を記入し、大至急wkl@sec.gov.twもしくは狼煙行動連盟hunter_motion@yahoo.COm.twへご送信下さい。
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