ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.86より    
3000人がムリア原発建設に抗議の声

 
                      
(「ジャカルタ・ポスト」6月13日付け)

 
6月12日、ジュパラ県のとなりのクドゥス県で、3000人の人々が街頭で、中央政府によるジュパラでの原発建設計画に反対して抗議行動を繰り広げた。

 この抗議行動は、クドゥスの行政官たちによって後援されていた。その中には、クドゥス県知事のムハンマド・タムジル、議会のアスロフィ、軍関係者のプリヨ・ジャトミコらも含まれている。

 ムハンマド・タムジル知事は、「私は原発建設に反対だ。人々は反対している。私はクドゥスの人々が原発に反対していることを手紙に書いて中央政府に送ることにした」「建設の決定は住民の合意なしでなされた。だから私はクドゥスの人々の意思を支援しているのだ」といった。

 抗議行動のコーディネーターを勤めたモハンマド・アスアッドは、「原発は悲惨な結果をもたらすものだ」と指摘する。

 「私は政府に、とくにスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領にムリア原発建設計画を中止してもらいたい」

 インドネシア環境フォーラムの活動家のアリフ・ザインは「人々はいろいろな理由から原発建設に反対している。そのひとつは、インドネシア国内にすでに存在する膨大な自然エネルギー源だ」と指摘する。

 「さらに、この原発で使われることになるのは加圧水型炉であり、これは安全性が問題視されている古い原子炉なのだ」

 「100万kWの出力の原発なら、毎分400万リットルの冷却水が必要とされる。地元の海洋生態系や漁業に問題が起こりうる」

 「危険なことは、もし冷却水が十分でなければ、原子炉のメルトダウンにつながってしまうかもしれない。プルトニウム239からの放射線は東南アジア中に撒き散らされるだろう」

 インドネシア政府は、段階的に400万kWの発電量を確保できるように原発建設を進めていく考えだ。第一段階では2016年までに100万kWを発電できる原発を建設して、ジャワ島とバリ島とマドゥラ島に電力を供給するとしている。

 クドゥスの市街で大規模な反対集会が開催されたのみならず、同様の抗議行動がクドゥスの地方議会の建物の外でも組織された

 そのほかにも、6月5日には、原発建設予定地となるジュパラでも同様に数千人が参加した反対集会が実施された。
クドゥスとジュパラは隣接した地域である。

 次回の抗議行動は6月19日に、やはり予定地と近接したパティで行われる。


「インドネシアでの原発は無謀で危険だ」

ジュパラ県で地元住民が大規模抗議行動

                    
 「グリーンピース東南アジア」6月5日


]                
      TOLAK(拒否する)、PLTN(原発)

 
本日グリーンピースは、ジャワ島の北海岸のウジュン・ルマアバンで計画されている原発建設に反対する大規模な抗議行動に合流した。この行動には、数千人のジュパラ住民、地域のリーダー、芸術家や著名人らが多数参加した。この抗議行動は、世界環境デーに合わせて開催された。

 「インドネシアで原発を建設するという計画は、原発推進側と斜陽の原子力産業による無謀で危険極まりない計画である。原発導入は、インドネシアを、危険なリスクと経済的負債のサイクルのわなに、永遠にからめとることになるだろう」

 大規模抗議行動の中でグリーンピース東南アジア事務局長のエミー・ハフィールドはこのように述べた。

 「インドネシアに存在する膨大な再生可能エネルギーの可能性を探査する代わりに、私たちは残虐な技術の廃棄場にさせられようとしている」

 インドネシア原子力庁は、環境団体からの反対の声が高まっているにもかかわらず、中部ジャワの休火山であるムリア山(標高1600m)のふもとに同国初の原発を建設しようとしている。

 住民は、ごく軽い振動でさえ新たな噴火の引き金となり、原発で大事故を引き起こすのではないかと心配している。地震や噴火による放射能漏れは、1億人が住むジャワ島に悲惨な結果をもたらすだろう。

 日本、韓国、フランスの企業が、計画されている100万kWの原発4基の建設契約で競り合っている。ウジュン・ルマアバンの1号機建設のための入札は2年以内に行われる予定で、2010年には建設開始にこぎつけたい考えだ。

 原発は危険であるだけでなく、法外な費用がかかる。世界中で稼動している435基のどの原発を見ても、現在提案されているような時間的枠組みや予算内で建設されてはいない。

 競争力のある電力価格が実現されるとすれば、それは料金規制、原子力に対する直接・間接の補助金、ウラン採掘や核燃料製造の環境的コストのほとんどの外部化、バックエンドにかかるコストの大部分に対する補助の拠出などが行われて初めて可能になるものだ。

 「それらのコストは、全てインドネシアの納税者に押し付けられるのです」
グリーンピース東南アジアの気候・エネルギー担当のヌル・ヒダヤティはこのように発言した。




ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.86もくじ

No86(07年6月20日発行)B5版28ページ

●ジュパラ県・クドゥス県で数千人がムリア原発抗議行動 
          
●インドネシアへの原発輸出に反対する
             (久保康之・藤田祐幸・桜井薫・鈴木真奈美・小木曽茂子)

●韓国・古里1号機寿命完了祝祭 (沢村和世) 
              
●反戦・反核・平和 東アジア国際会議 (井上年弘) 
              
●東アジア非核地帯のための共同行動が始まる (イ・ソンジョ )
 
●「補正公投法 還我民權」行動宣言 (第四原発国民投票促進会)

●台湾・使用済み核燃料乾式貯蔵施設の建設説明会にブーイング

●ウラン兵器全面禁止、日本政府へ申し入れ (振津かつみ)  
       
●クダンクラムを風力発電に依拠した繁栄のシンボルに
                                    (サンディープ・パンディ)
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