ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.81より

インドネシア原発建設計画が復活!


 1990年代に大きな問題となったインドネシアでの原発建設計画。関西電力の子会社が立地可能性調査を行い、三菱重工がエウスチングハウス社と共同で本体の輸出を行うと見られ、日本でもさまざまな反対運動をとりくみました。一度は断念された原発建設計画が、再浮上しようとしています。


インドネシアからのメール

☆ アヌン・カリヤディさん(WALHI)  06年5月14日

 この8年間、民主化と国の根本的な改革を訴える運動が続いてきました。メディアの自由化、更なる民主化、脱中央集権化などが実現されつつあります。しかし改革の課題は、時とともに議員や官僚による汚職や癒着によって置き去りにされつつあります。原発問題が頓挫してかなり時間がたちます。私たちも反原発運動を再度、組織していきますが、各国の皆さんからの支援が必要です。

☆ ナナ・スハルタナさん  06年7月6日

 対処しなければならない社会問題が山積みですが、これからは再び原発問題にとりくまなければならないと思います。来年にも、インドネシア政府は原発建設の手続きに入ろうとしています。予定地は、中部ジャワ・ムリアのジュパラですが、バリ島に近いマドゥラ島の可能性もあるようです。国会で原発建設の話が持ち上がると、議員たちはロシアを視察して「原発に関してさらに理解することができた」などと言っています。政府は、(株)韓国水力原子力との契約を検討しているようです。8月にはインドネシアの反原発活動家が集まって、今後の活動計画について話し合うことになっています。


■ インドネシアに原発建設計画、2015年をメドに


 
インドネシアのエネルギー大臣が、同国初の原発を2015年までに人口密集地のジャワ島に建設する予定であることを明らかにした。

 「青写真はすでにある。着工は6〜7年以内の見込みだ」とプルモノ・スギアントロはAFPに語った。

 ジャワ東部に建設予定のこの原発は、稼動開始時は100万kWの出力を持つ予定で、予算は80億米ドルに上ると見られる。原発の規模は最終的には400万kWまで拡大することになる。

 「このプロジェクトの発展に興味を持ついかなる出資者をも歓迎する」
インドネシアの外務大臣ハッサン・ウィラユダは木曜日、同国の原子力プログラムに対して、国際社会からの反対はないと述べた。
「わが国は、国際原子力機関との法令遵守に関して、すぐれた経歴を持っている」とウィラユダは記者団に語った。
「我々はすでに、インドネシアが原子力プログラムを持ちたいなら特に問題はない、という確約を得ている」

 インドネシアは、東南アジアにおける唯一の石油輸出国機構メンバーであるが、その石油産出量は、近年の不安定な投資のために約100万バレルにまで低下していた。
 インドネシアの原発建設計画は、1997年に浮上したが、世論の厳しい反対と、巨大な天然ガス田の発見と採掘によって棚上げされていた。しかし、原発計画が去年になって再び持ち上がったのだ。

 この計画に反対する人々は、インドネシアには豊富な代替エネルギー資源があること、原発建設の是非は国民の意思にゆだねられなければならないことなどを主張している。              (AFP通信 06年5月)



■ ムリア原発入札、来年にも

 
インドネシアのエネルギー鉱物資源大臣のプルノモ・ユスギアントロは、同国初の原発建設の契約会社を選ぶ入札を来年実施する予定であることを明らかにした。国のエネルギー政策では、原子炉はムリア山付近 ― 地震多発地帯の火山のふもとであり、インドネシアに四つある最も重要なイスラム教巡礼地のひとつの近くである ― とされており、2015年から2016年には稼動開始したい考えだ。

 プルノモは、「海外の投資家はこのプロジェクトに興味を持つはずだ。調整役にはインドネシア原子力庁があたる」とした。

 原発を国内に建設しようとするスハルト元大統領の試みは、国内世論とNGOからの強力な抵抗によって中止に追い込まれていた。
                          (ジャカルタ・ポスト 06年6月29日)


■ ムリア原発 所轄機関まもなく決定

 政府はまもなく、中部ジャワのジュパラに建設予定の原発について、その所轄機関を決定する。プロジェクト推進のためには主体となる機関の決定が必要であり、産業省、エネルギー鉱物資源省、原子力庁からなるチームで討議されている。

 原子力庁のタスワンダ・タルヨ氏は8月10日にスラバヤで、「原発が政府の所有であることにかわりはないが、原発の操業に責任を持つのがどの機関かを決める必要がある」と述べた。

 チームは遅くとも今年中には担当機関を決定する予定で、決定すれば建設に関する入札の手続きが開始できる。

 ムリア原発の建設は2010年にも開始される見込みで、建設には5年かかると見込まれている。同原発は、2016年には300万kWの出力が期待されている。原子炉は、沸騰水型炉か、1952年に実用化されて以来安全性が証明されている加圧水型炉が予定されている。

 タスワンダは「原発による電気は、わが国の既存の発電所による電気と比較して、ほぼ1/3程度の金額しかかからず、非常にコストパフォーマンスがよい。もし9千億ルピアにのぼる火力発電所向け補助金がすべて原発に振り分けられるならば、インドネシアは7基の原発を建設することができるだろう」と語った。 (コンパス 06年8月11日)


■ インドネシア原発導入政策決定権者13人が韓国を訪問

                        「(韓国)原子力新聞」8月7日号より

 インドネシア原発導入の核心政策決定権者13人が、8月6日わが国を訪問した。
インドネシア国会エネルギー委員長を団長とする訪問団は、韓国国際協力団(KOICA)の招請で 13日まで 8日間、韓国水力原子力(株)による研修に参加して韓国の原発技術を概観したり、二国間協力の内容を検討する時間をもつ予定だ。

 インドネシア訪問団は、インドネシア国会エネルギー委員長を含めた国会議員 2人、地方議会、資源エネルギー部、原子力庁、電力省、大学研究所など、核心人物たちが主軸を成している。

 インドネシア原発政策の決定権者たちの訪問団は、ウルチン(蔚珍)原発とコリ(古里)原発を視察し、斗山重工業、韓国電力技術などを相次いで訪問した後、11日に産業資源部次官との面談をもって二国間協力の内容を検討する予定だ。

 インドネシアは 2025年まで総4基の原発導入計画を最近決定しており、今回の訪問で両国の協力関係がいっそう具体化されるだろう。

 韓国水力原子力(株)は、90年代中盤からインドネシアに原発を輸出するために持続的な協力関係を維持してきており、 2004年と2005年に韓国標準型原発(OPR 1000)のインドネシア建設を前提に了解覚書を締結、立地可能性調査が進行中だ 。

 韓国とインドネシアは6月に、原子力協力協定に仮署名している。



ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.81もくじ

No.81(06年8月20日発行)B5版36ページ   

「韓日反核フォーラム 2006」参加よびかけ                 
韓国[声明書] 「繰り返される原発事故、国民は不安を感じている!
「ウラン兵器禁止を訴える広島国際大会」報告(振津かつみ)  
「韓国の米軍基地に劣化ウラン弾300万発」(イ・シウ)
インドネシア原発建設計画が復活!                  
フィリピン・サンロケダムが地元に残した深い爪痕(波多江秀枝)      
日本からフィリピンへの公的資金の供与に関する要請書
台湾・環境保護団体、第四原発のたび重なる予算追加を告発          
核廃棄物いらん! 周・台北県長これからも積極的にやれ(崔スーシン)
住宅撤去の圧迫のただなかに敢然と建った住民歴史館 

               

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