ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.67より

国際平和巡礼、オーストラリアから日本へ

野川温子

国際平和巡礼 日本での日程 (予定)
4月 20木 小高→双葉(15) 7月
9金 行進団成田着 21金 双葉→楢葉(27) 1木 小浜→大飯原発(27Km)
10土 (オリエンテーション) 22土 楢葉→いわき(28) 2金 高浜湾→高浜原発 (19)
11日 東海村 23日 いわき 3土 難波江→舞鶴(15)
12月 フェリー乗船・大洗 24月 いわき(舞子) 4日 舞鶴
13火 苫小牧 25火 いわき→新潟 5月 舞鶴→宮津 (30)
14水 交流会 26水 新潟 6火 宮津→大宮 (16)
15木 アイヌ文化交流センター  27木 新潟 7水 大宮→久美浜(28)
16金 八雲町→森(30Km) 28金 新潟→巻(25) 8木 久美浜→竹野 (21)
17土 森→函館市北部(26) 29土 巻→長岡(30) 9金 竹野→香住 (19)
18日 →函館市内(7) 30日 長岡 10土 香住→浜坂 (20)
19月 (オリエンテーション) 31月 長岡→西山町(23) 11日 浜坂
20火 フェリーで大間へ 6月 12月 浜坂→鳥取 (33)
→大畑町(24) 1火 西山町→柏崎(25Km) 13火 鳥取→気高 (18)
21水 大畑町→むつ市内(33) 2水 柏崎→大潟(28) 14水 気高→倉吉 (30)
22木 むつ市→東通(32) 3木 大潟→上越(15) 15木 倉吉→上斎原 (31)
23金 東通→六ヶ所(26) 4金 上越→能生(24) 16金 上斎原→鏡野 (26)
24土 六ヶ所村内行進 5土 能生→青海(30) 17土 鏡野→津山 (10)
25日 チェルノブイリの日 6日 青海→宮崎(15) 18日 津山
26月 六ヶ所(倉内)→三沢(27) 7月 宮崎→魚津(28) 19月 津山→久米南 (20)
27火 三沢→八戸(28) 8火 魚津→富山(30) 20火 久米南→御津 (21)
28水 八戸 9水 富山→五十里 21水 御津→岡山 (20)
29木 八戸→二戸(31) 10木 五十里→羽昨 22木 岡山
30金 二戸→浄法寺町(28) 11金 羽昨→志賀 23金 岡山→総社 (19)
5月 12土 志賀→高松/平塚 24土 総社→井原 (32)
1土 浄法寺町→安代(31Km) 13日 高松/平塚→金沢 25日 井原→福山 (19)
2日 安代→西根(30) 14月 金沢→小松 26月 福山→尾道 (20)
3月 西根(国際交流村) 15火 小松→那谷 27火 尾道→三原 (13)
4火 西根→盛岡(27) 16水 那谷→加賀 28水 三原
5水 盛岡→花巻(32) 17木 金沢 29木 三原→竹原 (26)
6木 花巻→江釣子(32) 18金 金沢 30金 竹原→安浦 (21)
7金 江釣子→衣川(34) 19土 金沢 31土 安浦→呉 (23)
8土 衣川→一関(27) 20日 金沢 8月
9日 一関→若柳(26) 21月 金沢 1日 呉→海田 (20Km)
10月 若柳→登米(21) 22火 金沢 2月 海田→広島仏舎利塔 (10)
11火 登米→石巻(29) 23水 加賀→三国(21) 3火 →広島 (15)
12水 石巻→女川(33) (福井で集会?) 4水 広島
13木 女川→利府(35) 24木 三国 5木 広島
14金 利府→仙台(20) 25金 敦賀 6金 59周年平和祈念式典
15土 仙台 26土 敦賀 7土 広島⇒上関→長崎
16日 仙台 27日 敦賀→敦賀原発 8日 長崎
17月 丸森 28月 敦賀原発→美浜原発 9月 59周年平和祈念式典
18火 丸森→相馬(30) 29火 美浜(33)
19水 相馬→小高(29) 30水 小浜(33)

「・・・・・・この毒、放射性廃棄物の問題で、もう何年も闘いを続けてきました。
 そして、他の国々からもゴミを送ってこようとしていると聞いた時は、本当に耳を疑いました。彼らは私たちを殺したいに違いない! 信じられません! どうしてこんなふうに生きていくことができるのでしょう?きっとこの国の全てを、私たちだけではなく、この地球上に生きる全てのものを、根絶やしにしようとしているに違いありません。

・・・・・・この大地の教えは、私たちのおばあさんやおじいさんから学んだ事です。この教えは、白人の知識のように紙に書かれたものではありません。大地のために、私たちはこの知識を頭に入れて、そして心の底から話をします。私たちがこの大地の物語を知っているのです。私たちの声を聞いてください!」

これは、クーパピディ・クンガチュタと呼ばれる、南オーストラリアに暮らす核実験による女性ヒバクシャのグループの昨年10月の声明です。クンガ(現地の言葉で、おばあさん)を始め、1950年代からイギリスとオーストラリアが共同で行った核実験でヒバクした先住民族は、オーストラリア社会の問題意識の低さに加えて、人種差別という二重の圧力によって、その存在さえも知られていないのが現実です。

国際平和巡礼では今回、私たちの声の届きにくい砂漠の奥地に暮らすクンガや、周辺の先住民族の声を大きく取りあげたいと願い、広島・長崎へ向けての平和巡礼を、南オーストラリア州にあるオリンピックダム鉱山からの出発としました。

オリンピックダム鉱山の正面ゲートでの出発には、このおばあさんたちも駆け付けて、この季節には珍しい肌寒い曇り空のもとで出発しました。真夏だと40度まで気温の上がる砂漠での行進のため、ある程度の覚悟と心の準備をしていた私たちはただ驚くばかりでした。初めは、おばあさんたちがいつ倒れてしまうかと不安でハラハラしながら見守っていましたが、3キロ行っても、5キロ行っても、一向に疲れる様子が見えません。結局お世話している女性に、そろそろ出発しないと帰れなくなるから…そう諭されて渋々車に乗り込んだのでした。

道中無事であるようにと、おばあさんが歌を聞かせて、国際平和巡礼〜核のない未来への、9ヶ月の旅が始まりました。

現在オーストラリアで最も緊急で、かつ重要な問題は南オーストラリアで進んでいる低レベル放射性廃棄物処分場の計画です。かつてイギリスとオーストラリアが共同で行った核実験でヒバクした土地に、今度はルーカスハイツ研究用原子炉(シドニー郊外)から出る放射性廃棄物を含む、廃棄物の地下埋設施設の計画が進んでいます。しかし、この計画に対して、クンガを始め先住民の人々が白人の、とくに若い人たちを啓発して、徐々にではありますが運動は広がりを見せているようです。

オーストラリアでの環境保護運動や鉱山などの問題について考えるときに、つねに先住民族の主権のあり方が問われます。私たちがオーストラリアと呼ぶ大地は、元々500以上の氏族に分かれて存在していた先住民族のものであり、彼らこそが土地のことに通じているので、「主権が先住民族に戻され、子供たちや孫たちの将来を視野に入れたオーストラリアを」という声がとくに若い環境保護運動家の間では聞かれます。

1990年代に全世界の支援を受けて大きく広がったジャビルカ鉱山開発阻止の運動以来、とくに若い世代が、先住民族の中で積極的に暮らし、そこから生き方や大自然について学ぼうという動きができあがってきました。

国際平和巡礼は、このような若い人たちが今後オーストラリアや世界各国で運動を継続していく中で、今のうちにできるだけ多くの問題に直接触れ、たくさんの人の声に耳を傾けながら、国境や人種、肌の色を越えて大きくつながりつつあります。

オーストラリアは、核の流れの始まりの部分、ウラン採掘と精錬、世界有数のウラン輸出国です。日本は、核燃料の原子炉での利用、廃棄物の産出など後半部分をかなり大きく担っています。

国際平和巡礼の後半、東海村とアイヌモシリ(北海道)から広島・長崎へ向けての行進の中では、できるだけ多くの原子力に縁のある地域を訪れ、日本の現状と未来への展望を聞かせて頂きたいと思っています。

平和巡礼はオーストラリア、イギリス、そしてアメリカや日本から参加している若い人たちが中心になっています。「核のない未来ヘ」の力強い前向きのパワーと、先住民族を侵略し地下資源を手当たり次第に掘り起こしてきた行いへの反省を抱えながら、全国の皆さんのお話を聞かせて頂くために、一歩一歩思いを込めて歩いていきたいと思います。

今回巡礼団と共に来日されているオーストラリアの先住民アボリジニが、アイヌモシリ(北海道)に到着したときに、「私たちはこの大地を静かに歩きます。大地の精霊が眠りを妨げられないように」と言われました。

人間は「近代文明」を支えるために、人々の土地を奪い、とくにウラニウムの使用は世界じゅうで多くのヒバクシャをうんできました。

もうこれ以上、痛みと苦しみを産み続けることのないよう、核のない平和な世界へ向けて、多くの方のご参加とご支援を呼び掛けています。現在(4月15日)、海外と日本の参加者あわせて、29名で歩いております。

国際平和巡礼連絡先  090-3654-4035(野川温子)

kokusai-heiwa-junrei@ezweb.ne.jp
inori-heiwa@jeans.ocn.ne.jp
http://rainbow.or.tv/walk/kokusaiheiwajyunrei/



ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.67もくじ
(04年4月20日発行)B5版36ページ   

●自衛隊のイラクからの撤退を求める要望書               
●劣化ウラン兵器禁止・市民ネットワーク結成(柳田真)        
●サマワで、劣化ウランに毒された?                 
●第2回日韓原発立地地域議員交流会のおしらせ            
●プアン、その後(キム・ボンニョ)                  
●核廃棄場論争の「火の粉」、ウルチンに飛び火か           
●ヨングァンで「核廃棄場」論争再び                
●陳水扁再選で台湾脱原発は進むか(酒井亨)            
●新核四環境監督(ョ偉傑)                    
●国際平和巡礼、オーストラリアから日本へ(野川温子)       
●六ヶ所再処理計画の放棄を!(澤井正子)              
●皆さんは「バヌヌさん」ってご存知ですか?(森沢典子)      
●SPENA公開ワークショップを開催(大林ミカ)           
●ノーニュークス・アジアフォーラム通信
  No.1〜66 等主要掲載記事一覧
               

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