ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.66より

2.14プアン核廃棄場誘致賛否住民投票結果発表文

プアン核廃棄場誘致賛否住民投票管理委員会


1.住民投票結果報告

私たちプアン核廃棄場誘致賛否住民投票管理委員会は、韓国最初の住民自主管理による住民投票がとても平穏でかつ多くの人たちの参加のもとに成り立ったということを、まずご報告いたします。

ただウィ島で一部住民たちの投票場占拠により投票を行うことができなかった点はたいへん遺憾に思います。しかし、プアン郡内13の邑面(町村)の中でウィ島投票場を除いた36ヵ所の投票場で何の不祥事なしに公正かつ平和的な雰囲気のもとで投票を行うことができたのは、プアン住民たちの成熟した住民意識と平和を切に願う気持ちが反影された結果だと判断しています。

今回の住民投票の準備過程と投票、そして開票に至るまで関わってくださった数多くのプアン住民の皆さんとソウルを含めた全国各地から投票過程に携わっていただいた幾多の宗教・市民社会団体のボランティアの人たちの苦労は今回の住民投票を成功に導いた一番の原動力に違いありません。

その結果、今回のプアン核廃棄場誘致賛否住民投票は、
最終的に全有権者52,108人中37,540人が
投票し、72.04 %の投票率を記録しました。
その中で賛成が2,146人、反対が34,472人、反対が91.83%を占めました。


今回の住民投票で、91.83 %という圧倒的な反対により、
プアン核廃棄場誘致反対が、
住民の意見として確定したことを公表いたします。


2.今回の住民投票の歴史的意味

これにより私たちは韓国の住民自治・地方自治の歴史に、新しいページが刻まれたことを宣言します。

またこの瞬間、新しい参加民主主義の時代が開かれたことを宣言します。

住民たちの自主的な管理による住民投票が、行政機関の非協力・妨害の中で、むしろ既存の行政機関による投票よりも、より徹底的に公正かつ平穏に行うことができたことは、きたるべき分権と自治の時代においての、すばらしい指針と教科書になったと確信します。本日プアンは韓国の本来あるべき民主主義を描きだしました。

投票用紙

3.政府に対する要請

私たちは中央政府と地方政府に対して要請いたします。すでにプアン住民の意思は明確になっており、この意思は尊重されなければなりません。したがって反対意見が圧倒的に表出された今回の住民投票の結果により、政府はプアン地域での核廃棄場誘致を白紙化しなければなりません。

私たちは心より政府に対して要請いたします。もう二度と住民の同意と理解を得る手続きのない、拙速な国策事業の誘致、決定、政策推進はあってはなりません。民主主義のもとでの適正な手続きの尊重は、その結果の普遍妥当性よりも重要な民主主義の要素です。

だから私たちは要請いたします。二度とこのような愚かな事を繰り返すことは許されることではなく、「参与政府」を自称する現政府の下で起ったプアン核廃棄場問題は、どの場所・地域でも再び起ってはいけません。これがまさにプアン事態が教えてくれた厳重な教訓だという事実を忘れないでください。

4.プアン住民に対するお願い

私たちはプアン地域の住民の皆さんたちにもお願いいたします。プアンの問題は終わりました。

「住民たちが反対する核廃棄場設置は推進しない」と、ノ大統領とコ・ゴン総理が言明しています。このような状況下で、政府はみなさんの気持ちを厳重に受け入れざるを得ないと思います。

これからはもとの仕事に戻り、崩れてしまった地域経済を復興することに最善をつくしてください。

なによりも、離れてしまった地域社会と深いもつれの溝を埋めることに努力してください。反対した方も、賛成した方も、みなプアンの住民であり兄弟姉妹です。お互い分かち合い、仲直りをしてください。それが真正な勝利への道なのです。それがたとえ容易い道ではないとしてもその道は必ず歩まなければならない道なのです。まさに新しい出発なのです。

開票会場


5.プアン核廃棄場誘致賛否住民投票管理委員会の今後の役目

私たち住民投票管理委員会は、今回の投票結果を発表することにより、その任務を終えました。しかし私たちは、今後はプアン地域の発展に協力し、支援していくということで合意しました。住民投票に係わる残余業務と後続業務は当然処理されなければならない課題に含まれるでしょう。

それだけでなく、プアン住民たちの和解をはかり、また地域発展の為ならばどんなことでも協力していきたいと思います。核廃棄場建設がプアン住民たちの意思ではないということが確認されたこの場で、私たちは核廃棄場誘致という方法ではなく、プアンの地域がさらに民主的で生態的で代案的な共同体として発展していけるように微力ながら協力していきます。

 今日、2004年2月14日、プアンの夜はまことに美しい夜です。

 自治と民主主義の新しい歴史を自らの力で切り開いたプアン住民の皆さんは清く美しい人々です。

 住民自治万歳・民主主義万歳・美しいプアン郡民万歳。

2004.2.14 プアン核廃棄場誘致賛否住民投票管理委員会

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ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.66もくじ

No.66(04年2月20日発行)B5版44ページ   

●2.14プアン核廃棄場誘致賛否住民投票結果発表文
●2.15 プアン宣言文                      
●プアン自主住民投票(金子貞男)                  
●ハルモニに学び、新しいプアン共同体を(沢村和世)
●核廃棄物処分場候補地、韓国プアンを行く(水戸喜世子)
●住民たちが作る歴史の春(チョン・ジェチョル)
●インドネシアに太陽光発電を(桜井薫)
●親愛なるアジアの友人たちへ(ナナ・スハルタナ)
●中国の原発 最近の状況(藤野聡)                 
●世界社会フォーラムに参加して(銀林美恵子)
●WSF「ノーモア・ウラニウム、ノーモア・ヒバクシャ」
ワークショップ(国富建治)
●イラク・UMRC調査スタッフのウラン被曝が判明(吉田正弘)  
●日本国内での戦争体制づくりー国民保護法案の問題点―(末田一秀)
               

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