ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.63より

<東芝株主総会 市民行動>報告

 6月13日に台湾第四原発1号機に向けて原子炉(日立の圧力容器・東芝の再循環ポンプ)が呉港から積み出され、
20日、現地貢寮郷自治体が反対するなか搬入されてしまうという重大な局面を迎え、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、原子力資料情報室、原水禁・平和フォーラム、日本消費者連盟、たんぽぽ舎、進出企業問題を考える会、柏崎・巻原発に反対する在京者の会が呼びかけて、下記のような一連のとりくみがおこなわれ、台湾から郭金泉さんが東芝株主として参加した。

■ 6月25日夜、台湾向け原発輸出、緊急報告会 
■ 26日午前、東芝株主総会に原発輸出反対市民株主4名が参加、東芝本社前では横断幕・チラシ・マイクでアピール行動 
■ 26日午後、衆議院議員会館で院内集会
■ 27日午前、日立に抗議・申し入れ 




郭金泉・台湾環境保護連盟会長のスピーチ

 25日の報告会と26日の院内集会では、宮嶋信夫さん、佐久間真一さん、菅井益郎さん、大島令子議員、北川れん子議員などなど多くの人々から発言があり、台湾の反対運動と今後どのように連携・協力していくかについて活発な議論が行われたが、ここでは郭金泉さんの25日と26日のスピーチの要旨をまとめたもののみ紹介する。


 6月20日に日立の原子炉圧力容器が台湾第四原発に搬入されてしまいました。現地貢寮郷は地方自治体として抗議行動をしました。
 媽祖は海の神様です。貢寮郷の人たちは媽祖(木彫)のみこしをかついで、人間のかわりに媽祖に安全かどうかを確かめてもらおうとしましたが、第四原発の中に入れませんでした。
 非常に多い警察が退去命令を出しました。郷長は日本の町長にあたりますが、自分の管轄の土地に入れないことにとても怒って、埠頭を封鎖しました。

 原発を建設するとき日本では地方自治体の同意が必要ですが、台湾にはそのような法律がありません。だから地元の同意は必要ないというのは、台湾の住民の権利を軽視した行為ではありませんか。
 台湾では日本人のことを親しく思っている人が多かったです。でも、この原発輸出は「再侵略だ」「恨みと恐怖の輸出だ」といっています。どの新聞も1面で大きくとりあげました。
 日立・東芝は「事故が起きても責任はとらない」「台湾の住民の反対は、自分たちが考えることの範囲外だ」といっています。日本で多発している応力腐食割れについても「GEに伝える」というだけです。あまりにも無責任です。

 
「核四公投」は第四原発を建てるか建てないかの国民投票のことです。
民主化運動の歴史的リーダーで民進党元党首の林義雄さんたちがよびかけて、去年の9月から毎週土・日曜日に台湾じゅうを歩いて核四公投を訴えています。すでに目標の1000キロに達しました。この新聞記事のように、7月4日には総統府に座り込んで、核四公投の日にちを早く決めるように要求するつもりです。
 6月22日にアメリカが「核四公投はしないほうがいい」といったと報道されました。すると国民党と親民党の党首も「アメリカは台湾の内政に干渉するな」と怒って、「核四公投に反対はしない」と初めて表明しました。核四公投を行える可能性が高くなってきました。
 陳水扁総統は、彼の任期のうちに核四公投を行うと約束しています。たぶん来年3月20日の総統選挙と同時に行うことになると思います。

 「非核家園」とは非核国家という意味です。
 2年前の第四原発建設再開のとき、すべての政党は非核家園をめざすことに合意しました。行政院(政府)のなかに非核家園推進委員会をつくって議論してきました。この委員会には私たち環境保護連盟のメンバーが多数参加しています。そしてこの5月に行政院は非核家園法案を決定し、6月27日には全国非核家園大会を開催します。これには日本から伴さんに参加してもらいます。立法院(国会)はいま休会中なので、この法案は秋に立法院で議論される予定です。
 非核家園法案は第四原発建設をとめるとはしていませんが、立法院で第四原発建設の追加予算を通さないことで完成させないようにできると思います。台湾では、追加、追加なのです。

 ところで台湾電力は、台湾北部桃園県の大潭(タータン)ガス火力発電所の入札を行い6月18日に三菱重工が落札しました。
 合計427万kWで534億元(約1800億円)、総工費でも1227億元。原発よりはるかに安い。運転コストも安いはず。
 第四原発は1号機が06年、2号機が07年に稼動という予定です。一方、このガス火力発電所は05年から数十万kWのものが徐々に稼動していく予定です。第四原発を動かさなくてもいい根拠になります。
 また、東芝も台湾の豊徳ガス火力発電所(98万kW)を受注しているそうです。

 まだまだチャンスはあるのです。日本のみなさんに本当に感謝しています。これからも協力してください。


ノーニュークス・アジアフォーラム通信  No.63(2003年8月) もくじ
                                        ー B5版 36ページー

●東芝株主総会 市民行動・報告(郭金泉、小木曽茂子、宇野田陽子、富山洋子)
●脱原発法制定へ歩みだす台湾、第四原発は国民投票で決着(伴英幸)    
●韓国プアン郡ウィ島・核廃棄場反対闘争(ソン・セイル)         
●アボリジニーの闘い、ついに勝利 ジャビルカ鉱山、完全撤収へ(細川弘明)
●劣化ウラン弾こそ大量破壊兵器(藤田祐幸)              
●北朝鮮問題の平和的手段による解決を求める国際アピール  

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