ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.128より

「幸福なシノップに原発はいらない」

     ― 4.26 トルコ・シノップで1万人がデモ ―
            
                  ルファット・ドーアン  SOL紙 4月26日 



 チェルノブイリ原発事故から28年目のこの日、シノップで多くの市民が声を大にして原発反対を訴えた。デモには7歳から70歳まであらゆる人が参加した。

 統計局の最新のアンケートで「住民の幸福度が最も高い場所」全国1位に輝いたこの地に、原発がもたらされればその状況が変わるであろうことが指摘された。

 反原発プラットフォームの呼びかけで集まったシノップ住民たちは、原発に対し断固拒否の声を上げた。トルコ共産党、自由団結党、労働党、共和人民党など多数の政党とともに、ハルクエヴ協会、ベシクタシュのサポーターグループであるチャルシュ、社会主義技師・建築家評議会、革命労働組合連盟、公務員労働組合連合、トルコ労働組合連合、トルコ技師・建築家会議連合などもデモに参加した。



■ 子どもたちが幸せに暮らせるように

 旧シノップ刑務所の前から始まったデモは、ウウル・ムムジュ広場まで続いた。デモ行進は、子供と一緒にやって来た家族や、周辺の市民たちからも支持の拍手で迎えられた。デモの最中、頻繁に「AKP(公正発展党)のイマーム(指導者)よ、いくらで売ったんだシノップを」というスローガンが唱えられるとともに、昨年のゲジ公園のデモで使用された「これはまだ始まりだ。闘争は続く」というスローガンも用いられた。



■ 女性たちの参加

 とくに女性の参加が印象的であった。集会で最初にスピーチを行なったシノップ反原発プラットフォーム代表ゼキ・カラタシュは、1986年に経験したチェルノブイリ原発事故のことから話を始め、トルコと日本の間に結ばれた原子力協定によってシノップへの建設が目論まれる原発が大きな災害になるであろうことを示した。カラタシュはこれに対しさらに反対運動を拡大し発展させていくことを表明した。

 ジャーナリストでありラジオホストも務めるオズギュル・ギュルビュズは、原子力協定の裏で繰り広げられたやり取りを皮肉りながら、シノップ住民が今日この動きに断固反対の姿勢を示していることを話した。

 シノップ市長のバキ・エルギュルは、「シノップが地獄に変えられるのを許せるわけがない」と述べた。

 スピーチの後、パントマイムショーや音楽コンサートが開かれた。



■ アダナ県でも集会

 アダナ県では、アビディン・ディノ公園で集会が開かれ、「原発いらない、作らせない」との声が上げられた。

 反原発プラットフォームにより開催された集会で、教育労働組合アダナ県支部長のアフメット・カラギョズがスピーチを行ない、原発にまつわる事象がもはや単なるエネルギー問題の域を出て、民主主義運動の重要な一部を担うようになってきていることに注意を促した。

 メルシン県のアックユとシノップに原発建設を予定するロシアと日本の企業は、チェルノブイリそして福島で起きた大惨事の責任者であるとカラギョズは述べた。

■ メルシン県でもデモ行進

 アタチュルク大通りに集まったメルシン県反原発プラットフォームの人々も、同じく「原発にノー」を訴えた。メルシン県医者会議所の議長であるガリップ・クルジュ博士は、原発の健康への影響について社会で関心がもたれていることを指摘しながら以下のように述べた。「原発は、癌、そして子供においては白血病への原因となります。また、障害を持った子供の出産にもつながります。私たち医者の立場から言えることは、原発は健康に有害であるということです」

 集会の後、アックユ原発広報センターまでデモ行進が行なわれた。

                                      (訳:久保聡)

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ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.128 もくじ

                     (14年6月20日発行)B5版20ページ

● 5万人が台北駅前を占拠 
   ― 馬英九政権「第四原発、稼動・工事凍結」を宣言 ―  (陳威志)      

● 台湾人に感謝します
      ― 絶食を停めるにあたり皆様にお伝えします (林義雄)

● 断食する林義雄さんに届けたメッセージ                    

● 川内原発「再稼働」反対!
     ― 県議会開会日、県庁前集会に1100人 ― (杉原洋)           

● 三菱が原発を輸出しようとしているトルコ・シノップで1万人デモ
    「幸福なシノップに原発はいらない」  (ルファット・ドーアン)      
 
● サムチョクに希望を見出すも、脱原発の政治イシュー化には遠く (高野聡   

● 顕在化するインドネシア・バンカ島の原発建設計画  (遠山勝博)  

● インド・クダンクラム原発反対運動(15) 

● 福井地裁・大飯原発差し止め判決! 「原告の一人として」 (水戸喜世子)

● ノーニュークス・アジアフォーラム関連 Ustreamアーカイブ (中島貫) 

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