ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.127より

トルコからの手紙  …  「日本の国会議員のみなさま、トルコの状況を知って下さい! 8割の国民が原発に反対しています。しかし反対意見を表明する国民は、政府に 『国賊』 と呼ばれ警察により排除されます」

 トルコの100近くの市民団体から、日本の国会議員あてに下記のレターが届けられました。参議院の外務・防衛委員会の21名の国会議員の事務所に送りました。トルコの国内における市民への弾圧、周辺諸国との関係など、切々と訴える手紙です。
 トルコとの原子力協定は4月4日に衆議院、18日に参議院で承認されてしまいました。
 原発輸出をなんとしても阻止していきましょう。(FoE Japan)


 私たち「トルコ反原発同盟(反原発プラットフォーム)」は、日本・トルコ原子力協定の撤回を求め、以下の手紙と団体署名を提出します。

日本国国会議員のみなさま

         4月4日  トルコ反原発同盟(反原発プラットフォーム)

 2013年5月、日本とトルコは黒海沿岸西部のシノップに原発を建設するための協定を締結しました。三菱重工業とアレバ社が共同建設することになっています。また、2010年にトルコは、アックユに原発を建設するための協定をロシアとも結びました。ロシアメーカーの「建設・所有・運営モデル」は原子力エネルギー産業では稀であり、安全に関する様々な問題を投げかけています。

 現在のトルコは原発建設に前のめりになっており、福島やチェルノブイリのような原発事故が発生した場合に引き起こされる、社会・環境に対する様々な問題を考慮していません。とくに、トルコの国内政治・経済に内在する対立、科学技術・安全規制の分野における非効率性、専門家の不足などは、原発建設・運転に関する大きな脅威となっています。トルコは日本のような地震国でありながら、日本のような地震対策がありません。また、日本とは文化が異なり、リスク管理の態度も違います。これらの諸要因は、トルコで原発を運転するリスクを非常に高くしています。

 私たちは、日本国国会議員のみなさまにトルコとの原子力協定を撤回することを要請し、以下に理由を説明します。

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 まず第一に、トルコは民主主義社会ではなく、現政府により独裁主義的支配が進んでいます。持続可能なエネルギー政策を考慮せず、国民と議会の声を無視し、一方的に原発を推進する政府の行動は、公正発展党(AKP)による民意無視の政治手法を体現するものです。

 トルコ国民の多数は、原発・核兵器に反対しています。IPSOSが2011年4月に実施した「福島原発事故に対する世界市民の反応」調査によると、80%のトルコ国民が原発反対を表明しています。

 しかし、トルコ国民とNGOは、政府に働きかけるための民主主義的チャンネルを持っていません。ジャーナリスト保護委員会の調査によると、ジャーナリストが投獄される確率が世界で一番高いのは、2013年より2年連続でトルコとなっています(イランや中国よりも投獄の確率が高いということです)。

 トルコに言論・集会の自由がないということは、民主主義が機能するために必要な民意の役割を、トルコの政治エリートが度外視していることを意味します。エルドアン首相は、「権力分立は障害でしかない」という趣旨の発言もしており、彼の専制的指導のもと、公正発展党は政策決定を独断的に進めています。原発に関する協定交渉が素早く進んだのも、専門家や科学者の意見を十分に聞かずに政府が意思決定をしたことが理由です。

 このような状況で、政府が国民の反対意見に耳を傾けることはありえません。反対意見を表明する国民は、政府に「国賊」と呼ばれ警察により排除されます。

 また、警察による不必要な暴力行為はエスカレートしてます。2013年6月にゲジ公園近辺で行なわれたデモンストレーションに警察が介入した際には、3000人以上が逮捕、8000人以上が障害の残る重傷、そのうちの一人の10代の少年はいまだ意識不明、12人が視力を失い、11人が命を落としました。これがトルコの「民主主義」の現実なのです。

 昨年のトランスペアレンシー・インターナショナルの腐敗認識指数で、トルコは177か国中53位にランクされましたが、この後、トルコ政府要人による複数の汚職事件が明るみになりました。2013年12月17日から汚職事件の調査が始まりましたが、トルコ政府の透明性や責任性が向上することは期待できません(公正発展党内部の権力闘争が、汚職事件調査の動機になっているからです)。

 そして、汚職事件調査が続くなか、外交・原子力協定などの交渉のためにエルドアン首相は日本を訪問したのです。政府に批判的なジャーナリストはメディアから締め出されているため、トルコ国民に首脳会談の内容が十分に知らされることはありませんでした。余談ですが、2013年5月に日本・トルコ原子力協定に署名したエルドアン内閣の大臣のうち4人は、汚職事件により12月に辞職しています。



 地震国であるトルコに建設される予定の原発の安全性を確保することは、トルコ政府だけでなく、日本政府の責任でもあります。

 トルコは原発の安全性を確保するために必要な財政、法制度、人材、技術が十分にありません。トルコは、ロシアと日本の2つの異なる国と何十億ドルとする原発建設の協定を結んだだけでなく、アックユとシノップに建設される原発は新しいデザインの原子炉を使用することになっています(この状況は、原子力産業にとっては非常に珍しいケースです)。

 原発以外の大規模な公共事業と合わせると、トルコ政府の財政赤字は過去最高に達する見込みです。公正発展党は選挙での支持を伸ばすために、議会による規定の予算審査過程を回避することで2012年と13年の予算を通しました。もちろん、トルコ国民は原発の本当の経済コストを知りません。

 長年トルコでは、原発の環境に対する影響を憂慮するNGO、労働組合、環境団体、地域住民が、デモや署名活動などを通して運動を展開してきました。またNGOは、原子力協定に関する法案に対して裁判を起こし、高等裁判所で勝訴を勝ち取りました。

 しかしエルドアン内閣は、国内法案ではなく国際協定という形式に切り替えることにより、原発建設をトルコの裁判所の所轄外にしたのです。このため、原子力に関する国際協定が議会で一度批准されてしまうと、原発訴訟を起こすことが不可能になります。実際に、2014年1月9日の議会で、原子力協定は全く議論されることなく批准されました。



 以上のような政治状況に加え、トルコは原子力を推進するのに必要な制度・インフラが整備されていません。

 原発建設を進めるには、トルコ原子力委員会の建設・運転許可が必要なのですが、原子力委員会は原子力安全規制の仕事も同時に担っています。

 ロシアメーカーRosatomがアックユ原発に使用する予定の原子炉は新しいデザインであるため、安全審査の先例・ガイドラインが不足していたのですが、それにもかかわらず原子力委員会は建設を早々と許可しました。

 ロシアメーカーは、建設に関する環境アセスメントも行なわず、「メルスィン市長から採石の許可が下りている」という理由で、原発建設現場付近の森林伐採をすでに始めています。

 トルコ原子力委員会は、チェルノブイリ原発事故の際に、国民の健康と安全を守るための十分な措置を取りませんでした。現在に至るまで、チェルノブイリ事故で引き起こされたトルコ国内の放射能ホットスポットの地図は作成されていません。そんな中、チェルノブイリ事故に起因するガンが、トルコの若い世代の間で増加しています。

 また、原子力委員会には、IAEAの基準に見合う規制を実行するだけの独立性も専門性もありません。政治的に内閣に従属し、推進と規制の二面性を持つことから利益造反を引き起こしています。

 2007年には、トルコ第3の都市イズミルのスクラップ工場で、密輸入された使用済み核燃料棒が発見されるという事件も起きています。しかし、原子力委員会は周辺住民の放射線防護のために責任をもって行動することを拒否し、スクラップ工場を鉄条網で囲むという措置しか施しませんでした。

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 また、原子力協定はトルコに新たな外交・防衛問題を突き付けようとしています。

 第二次世界大戦以降、トルコは近隣諸国と平和な関係を保ってきました。建国者たちのモットー「平和なトルコ、平和な世界」は、長年トルコの外交政策の支柱でした。

 しかし、公正発展党のシリアに対する行動に見られるように、現政府の外交政策はこのモットーから逸脱しつつあります。

 日本とトルコの原子力協定は「原子力の平和利用」を掲げていますが、トルコを中近東の国々のためのプルトニウム輸出国にしてしまう危険があるのです。

 放射能は国境を知りません。チェルノブイリと福島の原発事故の本当の被害状況がまだ把握できないなか、原発をトルコに輸出しようとするロシアと日本の行動は道徳に反するものです。

 なによりもトルコの政治家は、国民の声を無視し自分たちの利益を追求した結果、汚職事件に見られるように正当性を失っています。このような状況で締結された原子力協定を将来の世代に押し付けるのは無責任であり、ロシアと日本との原子力協定は中止されるべきです。

 もしも中止されなければ、トルコ国民は次の選挙を通して原子力協定反対の民意を示すでしょう。

 この手紙を読むことで、日本の政治家の方々にトルコの実情を理解していただけたら幸いです。また、日本の経済界の方々にも、現在の日本とトルコの経済協力は、不安定な政治状況の中で進められていることを理解していただきたいと思います。

 私たちは、日本国国会議員のみなさまが、以上に説明したトルコの実情と、福島原発事故被害がまだ収束していないという現実を鑑み、日本・トルコ原子力協定を批准しないことを願っています。

 長期的な視点に立ち、トルコとの原子力協定批准を拒否することは、人々の健康を優先した英断として将来評価されることでしょう。美しい地球、民主主義、平和を実現するために、私たちとともに行動してくださることをここに請願します。 

トルコ反原発同盟:アダナ県環境消費者保護協会、共和人民党アダナ県青年県会議、アランヤ市環境ボランティア、アナトリア太陽協同組合、ジュムフリエット紙読者協会アンカラ県支部、アンカラ大学法学部エコロジー会議、アンタクヤ市環境保全協会、アルカダシュ環境保護会議、ユーラシア環境アカデミー、独立共和党チャンカヤ市支部、独立共和党アダナ県支部、平和公正連合、バルトゥン市教育文化協会、西地中海環境プラットフォーム、西黒海環境フラットフォーム、バトマン県環境の友協会、ボドゥルム市居住地環境保護グループ、ボドゥルム市住民ボランティア協会、ブルサ県自然環境保全・自然スポーツ協会、ブルサ県睡蓮地方議事21、ジェイハン市環境保全協会、共和人民党、現代生活支援機構、チャール協会、環境の医者協会、環境・文化価値保護推進財団、デニズリ県環境会議、革命社会労働者党、ディヤルバクル県環境ボランティア協会、自然と平和協会、東地中海環境協会・共同事務局、東黒海環境プラットフォーム、エーゲ海環境プラットフォーム、エコロジー共同体、エコロジー生活協会、労働党、エネルギー産業・鉱物公務員労働組合、エルズィン環境保全協会、ユーロソーラー・ヨーロッパ再生可能エネルギー連合トルコ支部、総合労働組合、ギョクオヴァ町継続行動委員会、グリーンピース、ギュムシュチェヴレ村協会、中央アナトリア環境プラットフォーム、イスケンデルン市環境保全協会、カドゥキョイ市科学文化芸術の友協会、公務員労働組合連合、黒海自然保護連盟、黒海環境保護団、コジャエリ県環境市民運動、コンヤ県環境保全教育・研究協会、コンヤ県自然・動物保護協会、国際平和公正連合、地球温暖化反対運動イズミル県会議、マルマラ地方環境プラットフォーム、メルスィン県環境の友協会、ムーラ県環境発展協会、ムーラ県女性団結プラットフォーム、反原発イズミル県連帯プラットフォーム、反原子力平和・環境保全公衆衛生協会、中東工科大学環境保護会議、オスマニエ県環境の友協会、自由団結党、サマンダー市環境保全観光協会、私たちのシノップ、シノップ県環境の友協会、シノップ県社会団結協会、シノップ県支援連帯協会、シノップ県出身者協会、社会主義労働行動党発足運動、タルスス市環境保護文化芸術センター、環境技師会議所、電気技師会議所、地図・地籍技師会議所、建築技師会議所、地質学技師会議所、化学技師会議所、治金技師会議所、景観設計会議所、都市計画会議所、農業技師会議所、社会エコロジー会議、トロイ・イダ山プラットフォーム、トゥンジェリ県協会連合会、消費者協会連合会、消費者権利協会、全国自治労働者組合、トルコ環境保護緑化機構ギレスン県支部、トルコ環境プラットフォーム、トルコ革命労働組合連盟、トルコ革命鉱物調査管理労働者組合、トルコ自然保護協会、トルコ自然保護協会アンタルヤ県支部、トルコ作家組合イズミル県代表団、ウズンキョプリュ市環境ボランティア協会、ヴァン県ユズンジュユル大学エネルギー国家事業部、アランヤ市環境保護協会、緑の歩み環境教育協会、緑の党、国土交通発展・土地登記労働組合


シノップへの原発建設は黒海を終わらせる!

   ギュルハン・サヴグ  AKSİYON(アクション)紙 3月17日付より

 トルコ第二の原発の建設が予定されるシノップは、福島原発事故の日に、原発に異を唱える活動の場となった。集会で、原子物理学者のハイレッティン・クルチュ博士は、「この地に原発が建設されれば黒海地域の漁業が終わってしまう」と述べた。

 「反原発プラットフォーム(反原発同盟)」は、シノップに何百もの民間団体を一同に集め、3月8~10日、3日間にわたる集会などの活動を実現させた。福島原発事故3周年をきっかけに行なわれた本活動には、多数の科学者や専門家、ジャーナリストも参加した。



 原発建設が目論まれるトルコ最北端の地、インジェブルンではフィールドツアーも行なわれた。

 シノップ住民たちは、以前、火力発電所建設計画に対して効果的な抗議活動を行ない、その計画を防いでいる。いま、彼らは原発に対しても同じ態度を貫こうとしている。

【漁業の町シノップ】

 この町では漁業は重要な生計手段である。千人もの許可を得た漁業者が存在し、およそ4千人が海で生計を立てている。歴史的にこの地域は魚が豊富であるため、「シノップに魚を持っていく」という表現は、不適切な商業選択を揶揄するときに使われる慣用句となっている。シノップは、荒々しい黒海の中で自然の避難港の役を果たしてくれるその入り江のおかげで、昔から漁業の中心地として記憶されてきた。

 今日では、ビーチと自然的・文化的財産でもって、地域開発目標を観光と教育に据えており、豊かな歴史を持つシノップが収益を得ながら守られていくことは可能と見える。

 しかし、この地のこれら継続可能な目標と対立して、およそ10年間、建設が目論まれている原発が議論の的となっている。

 シノップから4km東にあるトルコ最北端の地インジェブルンの60平方kmの領域は、原発建設予定地として指定され、トルコ原子力機構に譲渡されているようである。福島原発の敷地がたった4平方kmであることを考えると、日本・フランス合弁企業に、なぜ、これほど広大な土地が用意されているのかという問いが生まれてくる。

 その答えは、この土地で核廃棄物貯蔵・再処理施設も同時に計画されているということである。最近、トルコ科学技術研究機構(TÜBİTAK)の船がこの地域で調査を行なっている。JETRO(日本貿易振興機構)からもシノップへ人が派遣されている。

【原発建設に対する警告】

 3日間の活動の中で、まず3月8日午前に「反原発プラットフォーム」が記者会見を行なった。電気技師議会議所役員のエルダル・アパチュックが最初のスピーカーとして、福島原発事故以後16万人が家を追われていること、何百万トンもの放射能汚染水が海洋に流れ続けていることに言及した。

 彼が、日本の環境省が提供するデータに依りながら話した福島事故被害の修復に費やされる時間とお金は衝撃的であった。発電所の閉鎖には50年かかるということだ。

 アパチュックは、日本政府はこの事故にもかかわらず、トルコ、インド、そしてアラブ首長国連邦へ、原子力産業がまだ終わっていないことを示すために原発を輸出しようとしていると話す。

 彼によれば、福島原発事故の後、多くの国が原子力事業を停止している。しかし、トルコでは全く反対の状況にある。2014年1月、トルコ現政権の公正発展党(AKP)政府と日本政府との原子力協定が批准された。

 原子力利益団体が喜ぶ状況にあることを指摘するアパチュックは、政府間の協定の下に原発建設に臨む訳を、憲法の監視から逃れられるからであると見ている。アパチュックはこの手法が透明性を欠き、監視からも遠く、容易に暴走し得るものであることを警告している。

 世界的に有名な原子物理学者ハイレッティン・クルチュ博士も、「反原発プラットフォーム」がシノップに招待した一人である。現在、自身の設立したアメリカのシンクタンクで活動するクルチュは、重要な警告を発した。

 世界の他の状況を例に、シノップに建設される原発が冷却目的で使用する水の量は1日に1千万リットルほどに達するであろうとクルチュは述べる。1リットルあたり1個の魚の卵が熱され死にさらされることを考慮すると、黒海の魚類は17年の内に死滅し始めることになる。

 クルチュのこの主張は、米西海岸のディアブロキャニオン原発が海洋生物にもたらす影響に関して2008年9月にカリフォルニア州がまとめた公式報告に基盤を置いている。その報告によれば、この発電所が位置する太平洋沿岸およそ225km四方の範囲に生息する魚類の10.8%が死滅した。そしてこの沿岸120kmの内で生息する岩礁魚の1997年から98年の間の死滅率は11.4%であった。この発電所の冷却システムによって熱せられる幼魚の数は1年におよそ150万と見積もられた。

 黒海は太平洋よりもさらに危機的状況に陥ることになる。なぜなら、黒海は太平洋よりもはるかに小さい。そして、200m以下の場所で生命が見られないこの地では、魚は岸に近い場所に生息しており、反時計回りに移動する。つまりは、繁殖地であるシノップ沿岸での原発建設は、この海のあらゆる生命を破滅させる影響をもたらすことになる。

 その後に話した保険社会労働組合委員長チェティン・エルドルの話の中で注意を引いた最も重要な点は、ウクライナのチェルノブイリ原発事故が黒海地域における癌発症例の増加につながったということが、科学的調査によって証明されたことである。エルドルは、シノップの原発建設による周辺地域の住民への癌増加を警告している。

【押し進められる準備、膨大な問題】

 記者会見の後、原発建設予定地インジェブルンへのツアーが行なわれた。そのツアーの最中にも、インジェブルン周辺では集中的に木々伐採が行なわれているところだった。この伐採は発電所の準備作業と見られている。

 話をすることができた村人たちは、原発建設に関する情報が与えられていないことに不満をもっていた。この地で、一方で植林を行ない、他方では伐採を行なうことで収入を得ているという住民は、原発に反対している。

 8日の晩には「原発と福島」というテーマでパネルディスカッションが開かれた。パネリストでシノップ出身のEMOエネルギー部部長のネディム・ビュレント・ダマルは、原発を巡るテーマにおいてあらゆる技術的・経済的評価よりもまず優先されるべき条件は、人の命を危険にさらさないことであると述べた。

 ダマルは、世界のいずれの原発においても放射能漏れを完璧に防ぐような構造に未だ達することができていないと話す。近年最大の事故が発生した福島で、放射能漏れが止まらないという。ダマルは、アックユとシノップへの原発建設はなされるべきでないとし、その理由を以下のように挙げる。

 「法的基盤が未だ整備されておらず、また、独立した監視機構も設立されていない。原発の電気販売価格は世界およびトルコの平均よりはるかに高い。欠陥・ミスにより生活・環境への災害をもたらすことは免れないだろう。電気エネルギー生産の分野でトルコを今まで以上に外国に依存させることになる。膨大な額の外貨が国外に流れる原因となる。燃料の点でも依存的である。そして、使用済み核燃料の処分および移送は世界的に未だ解決を見ていない問題である」 (一部割愛、翻訳・編集:久保聡)



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ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.127 もくじ

                     (14年4月20日発行)B5版28ページ

● 川内原発再稼働を阻止する  (小川みさ子) 
                 
● 原子力規制委員会への申入書  (反原発・かごしまネット) 

● 福井での原発をめぐる動きについて  (若泉政人)  

● 「日本国国会議員のみなさま」  (トルコ反原発プラットフォーム)

● シノップへの原発建設は黒海を終わらせる!  (ギュルハン・サヴグ) 
     
● 「ちょっとまって! トルコへの原発輸出」報告  (宇野田陽子)
        
● インド・クダンクラム原発反対運動(14) 
    
● 台湾各地で原発廃止を叫ぶ 
                        
● 緑色公民行動連盟などの市民団体も、立法院占拠に参加  (陳威志)
      
● 「選択の権利を奪い返す! 国会占拠支持および参加について」
                                  (緑色公民行動連盟)

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