ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.119より

日本とインドの原子力協力を許さない
ー 両首相への要望書・緊急行動の報告 -


                       
宇野田陽子(NNAFJ事務局)

 マンモハン・シン首相が年次首脳会談で11月の中旬に来日するとの情報を受けたのが10月中旬でした。その直後に、クダンクラム原発反対運動で先頭に立つウダヤクマールさんからも「マンモハン・シンが日本に行く。核の狂気を止めるために力を貸してほしい」というメールが届き、今回の一連のとりくみの準備が始まりました。

 日本が核保有国への原発輸出を開始し、インドの核開発に加担する立場に立つのかどうか。インドと日本の原子力協定の問題は、原発の輸出というだけでも許しがたい問題であるのに、それ以上に複雑で許されない事柄です。このたびの緊急行動をとりくむにあたって、それほどの大問題があまりにも軽く扱われていることに、あるいは問題の本質が隠されていることに愕然とすることの連続でした。

 11月初旬になって、やっと外務省からシン首相来日の発表がありました。それまでは、産経新聞のみで来日の予定が報じられ「レアアースと原子力協定も議題になると思われる」と書かれていたのですが、それ以外の報道がなく、本当にこの時期に来日するのか、一抹の不安を持ちながらの準備でした。

 野田首相とマンモハン・シン首相への要望書への賛同を募り、緊急でありながら209の団体と985名の個人からの賛同を得ました。多くの方から、賛同の表明と共に熱いメッセージが添えられており、本当に心強く思いました。

 そして来日直前に、衆議院解散が決定し、一気に事態が流動的になりました。来日予定日の前日である14日になって、来日キャンセルが発表されました。首相が来なくても問題の重要性に変わりはありませんので、予定通りすべての行動を行ないました。
日本とインドの原子力協力を許さないという市民の強い意志をはっきりと伝えることができたと思います。

 15日の集会は、緊急の呼びかけでありながら約50名の参加がありました。質疑応答では多岐にわたる質問が相次ぎ、この問題への関心の高さがうかがわれました。福島事故を起こしてしまった私たちの同時代者としての責任、そして国内で受け入れられない原発を輸出することの問題点、そしてそれが核拡散と不可分の問題であるという点が詳細に語られ、私たちがどう行動するかが問われていることを確認しました。

 16日の官邸前抗議行動にも40名以上の方が駆けつけてくれました。この日の行動も、突然の衆議院解散によって大きく影響を受けました。当初の予定では、衆議院の議員面会所前で集合して、国会議員を通じて要望書を提出し、首相官邸前で抗議行動をすることになっていました。しかし、衆議院が解散してしまい、協力してくれるはずだった議員も国会議員ではなくなってしまったので、議員面会所前を使用することができなくなってしまったのです。急遽集合場所の変更、要望書提出先の調整などをしてくれた東電前アクションのみなさん、ありがとうございました。首相官邸前での抗議行動は、参加者と同じくらいの数の警官が取り囲む中でしたが、大きな混乱はありませんでした。インドの反原発運動の状況や日印原子力協定の問題などを訴え、経験を分かち合う貴重な機会となりました。

 今回シン首相は来日しませんでしたが、野田首相とシン首相は直後にカンボジアで開かれたASEANの会合で、約20分間の首脳会談を持ったようです。この問題が今後どのように進んでいくのか、きびしく監視し続けたいと思います。

 すでに日立GEと東芝WHはインド原子力公社(NPCIL)と協議を進めていて、インド側は、グジャラート州のミティビルディとアンデラプラデシュ州のコバダの二つの地点(それぞれ800万kW)を準備しています。



 今回は緊急のとりくみであり、配慮の行き届かないところも多くあったと思います。この場を借りてお詫びいたします。東京での集会、首相官邸前での抗議行動の実現のために多くの方々が助けてくださいました。本当にありがとうございました。そして、要望書や集会、抗議行動にご参加、ご賛同くださったみなさま、本当にありがとうございました。

【関連映像】
11月16 日夜の官邸前アクション
http://toudenmaeaction.blogspot.jp/  (27:00〜)

11月16 日午後の「あおぞら放送・テントひろばから」
(最初に宇野田陽子が10分ほど話しています)
 http://www.ustream.tv/recorded/27060510


日印原子力協力協定に向けた交渉を行なわないことを求める要望書

2012年11月15日
野田佳彦 総理大臣

11月15日から18日にかけて、インドのマンモハン・シン首相が来日し、
野田首相と首脳会談を行う予定です。私たちは、日印原子力協力協定に
向かういかなる話し合いも行わないよう強く要求します。

インドは、カナダから導入した重水炉を用いて原爆を製造し、核実験を行
った核保有国です。核拡散防止条約(NPT)にも、包括的核実験禁止条
約(CTBT)にも加盟していません。

また、インドはウラン鉱山から再処理施設まで、核燃料サイクルのほとん
どすべてを所有していますが、ウラン鉱山や原発をはじめとするいくつも
の核施設の周辺において、すでに健康被害や人権侵害が多数報告されて
います。

原発の新増設に関しては、情報公開が全く行われておらず、住民の訴えは
ことごとく無視されています。今年の9月に南部のクダンクラム原発で起
きた悲劇に象徴されるように、インド政府は反対する住民たちを暴力的に
鎮圧することでしか建設が進められない事態に至っています。

さらに、インドは原子力供給国グループ(NSG)での特例措置を認めさせた
際にも、今後は核実験をしないという約束はしませんでしたし、核物質の
核兵器への転用を防ぐための国際原子力機関(IAEA)による保障措置も
部分的にしか受け入れていません。

日本政府がインドとの原子力協定へと拙速に突き進むのは、今後もっとも
有望な原発市場であるインドでの商機に乗り遅れまいとしているからです。
2010年にインドとの原子力協定に向けた交渉が明らかになった際には、
広島と長崎をはじめ、全国から「核拡散防止よりビジネスを優先するのか」
と激しい反対の声が上がりました。

そして今、福島原発事故の渦中にいる私たちは、あらためてさらに強いこ
とばであなた方に要求します。

インドとの原子力協定は、被爆国の責務も矜持もかなぐり捨てるものです。
福島原発からは今も放射性物質が放出され続け、作業員が被曝を強いられ、
数えきれない人々が苦しみの中にあるというのに、懲りもせず原発を輸出
しようとする動きを、私たちは絶対に許すことはできません。

日本政府に対して、インドとの原子力協定締結に向けたあらゆる試みを
停止し、交渉行わないことを要求します。

福島事故の現実を知り、自国民への弾圧をやめ、核を放棄してください

2012年11月15日
マンモハン・シン首相へ    

私たちは11月15日から18日にかけてあなたが日本を訪問されると聞き、
日印原子力協力協定の進展についての議論がなされることに大きな危惧を
抱いています。私たちは、日印原子力協力協定に強く反対します。

2010年にあなたが来日された際にも、多くの人々が日印原子力協力協定
への懸念を表明しました。そのとき多くの人々が両国の協定に反対した
理由は次のようなものです。

インドは核兵器を保有しており、NPTにもCTBTにも加盟していません。
また、原子力供給国グループにおいてインドに特例措置を認めるガイ
ドラインの改訂にあたり、今後核実験をしないという約束をしませんでし
た。自国産の核物質を核兵器製造に転用しないためのIAEAによる査察
も部分的にしか受け入れていません。。

そして2年がたった今、前述の懸念が放置されたまま、それでも日印が原
子力協定に突き進もうとしていることに対して、私たちは満身の怒りをも
って抗議します。私たちは福島原発事故を経験し、破局的な原発事故が人
々の命や自然に対して何をもたらすのかを、日々まざまざと見せつけられ
ています。

日本に来て原子力協定を推進しようとするなら、東京で要人と会談するだ
けではなく、広島と長崎を訪問して平和資料館を見てください。被爆者の
証言に耳を傾けてください。そして、福島に行ってください。現在も4基
の原発から放射性物質が放出され続ける中で、人々がどのように苦悶しつ
つ生きているのか、事故収束にあたる多数の労働者がどのような過酷な被
曝環境の中で働いているのか、海や森や田畑で何が起きているのかを知っ
てください。そうすれば、あなたの考えも変わると思います。

核兵器と原発の非人道性から目をそらしたインド政府が、インド各地で原
発に反対する人々に対して激しい弾圧を行っていることも許せません。9
月10日にクダンクラム原発に反対する人々に対して大規模な弾圧があっ
たことは世界中で報じられました。民衆の声を無視すること、情報を隠す
こと、民主的な手続きをないがしろにすること、原発推進機関と規制機関
がなれあうことが、原発事故の遠因となるのです。

原子力はまぎれもなく斜陽産業であり、民主主義とは相いれないものです。
福島事故を経験した日本の人々は、日本から海外へ原発が輸出されること
に強く反対しています。私たちは以下のことを要求します。

1. 日印原子力協力協定に向かういかなる話し合いも行わないでください。
1. インド国内で原発に反対する人々への弾圧を即時停止してください。
1. クダンクラム原発の稼働を断念し、即時閉鎖してください。
1. 原発を輸入して新増設を行うことを止めてください。


アーユス仏教国際協力ネットワーク
I女のしんぶん
秋工房
アジア共同行動日本連絡会議
アジアこどもプロジェクト
アジア連帯講座
アジェンダ・プロジェクト
足元から地球温暖化を考える市民ネットたてばやし
アスキャップ・地球ハーモニー
ATTAC Japan(首都圏)
ATTAC関西グループ
ATTAC京都
APLA
生きさせろ!にいがた
いまこそ原発を問う連続講座
イマジン@せや
今治・宗教者平和の会
イラク判決を活かす会
いわき母笑みネットワーク
インドネシア民主化支援ネットワーク
ウラン残土市民会議
AMネット
Echo-Echanges ONG France-Japon
エコリレーかめおか
エスペラント友の会(神戸)
NPO懐かしい未来
えねみら・とっとり(エネルギーの未来を考える会)
FoE Japan
ODA改革ネットワーク
ODA改革ネットワーク関西
外国人への差別を許すな・川崎連絡会議
核燃いらないわ三沢の会
核燃から郷土を守る上十三地方住民連絡会議
核燃やめておいしいごはん
核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会
核燃を考える住民の会
核のごみキャンペーン・中部
核のごみキャンペーン関西
柏崎刈羽原発反対地元三団体
鎌倉平和学習会
上関原発止めよう!広島ネットワーク
関西共同行動
関西*母と科学者の会
関西フィリピン人権情報アクションセンター
北九の子供を守るネットワーク
9とよさかピースの会
9プラス25改憲阻止市民の会・宝塚
キリスト者・九条の会(北九州)
草の根の会・中津
窪田写真事務所
グリーン・アクション
グリーンピース・ジャパン
グローバリゼーションを問う広島ネットワーク
Global Peace Campaign
経産省前テントひろば
原子力資料情報室
原水爆禁止日本国民会議
原水爆禁止調布市民会議
原爆と原発を考える京都市民の会
原発いらない島根避難者の会
原発いらない!ちば
原発いらない福島の女たち
原発いらん!下関の会
原発おことわり三重の会
原発・核燃とめようかい
原発さよなら四国ネットワーク
原発事故を考える姫路の会
原発ゼロ・放射能から子どもを守る鷹峯の会
原発と暮らしを考える会(横浜)
原発とめよう! 九電本店前ひろば
原発の危険性を考える宝塚の会
原発はごめんだヒロシマ市民の会
原発やめよう/つながろう関西・マダム会議
原発八女ん会
原発を考える品川の女たち
憲法リテラシー向上委員会
玄米と旬の野菜・MOMONGA
神戸YWCA
「幸福の経済学」プロジェクトin京都
ゴーゴーワクワクキャンプ
こおりやま「楽笑村」
子供たちの未来を考える親の会
こどもの命を守る会・京田辺
子どもの人権と教科書の問題を考える新居浜の会
子ども未来・愛ネットワーク
子どもの未来プロジェクト・港北
こどもの未来をまもる会・生駒
コリアン・マイノリティ研究会
再稼働反対!全国アクション
在日朝鮮人作家を読む会
さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト
さよなら原発・神奈川
さよなら原発! 福岡
3.11を考え続ける会・瑞穂
しあわせのたね
自然の灯をともし原発を葬る会鹿児島
島根原発増設反対運動
市民エネルギー研究所
市民測定所・うらわ実行委員会
ジャビルカ基金
自由空間創楽邑
ジュビリー関西ネットワーク
食政策センター・ビジョン21
新空港反対東灘区住民の会
ストップ原発&再処理・意見広告の会
ストップ・ザ・もんじゅ
STOP!浜岡原発
STOPプルサーマル!ふくしま
スペースふうら
全港湾大阪支部
全港湾西成センター分会
全石油昭和シェル労働組合
川内原発建設反対連絡協議会
川内つゆくさ会
ソーラーネット
曽根九条の会
そらとも
脱原発で生きたい女たち・豊中
脱原発・東電株主運動
「脱原発の日」実行委員会 
脱原発へ!関電株主行動の会
脱原発へ!中電株主行動の会
「脱原発」を考える市民講座・四日市
脱原発をめざす女たちの会・北海道
脱原発をめざす新潟市民フォーラム
田布施町まちづくり研究会
たんぽぽ舎
ティナラク織の会「カフティ」
天然酵母パン はな
東京・生活者ネットワーク
東京電力と共に脱原発をめざす会
東電株主代表訴訟
東電前アクション!
東北アジア情報センター(広島)
怒髪天を衝く会
長崎YWCA
七つ森書館
虹とみどりの会
日刊ベリタ
日本キリスト教団神奈川教区核問題小委員会
日本消費者連盟
日本ベラルーシ市民友好協会
日本YWCA
ネットワーク・コスモポりタン
No Nukes Actions(カリフォルニア)
No Nukes Asia Actions
ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン
NoNukes!野にゆく会
Harmonics Life Center
ハイロアクション福島
函館YWCA
はちどり
はつ工房
花風香の会
花とハーブの里
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反原発労働者行動実行委員会
反戦・反貧困・反差別共同行動きょうと
バンビの木箱
ピープルズ・プラン研究所
ひなん者お話会
被爆二世の会
Hiroshima-Kaminoseki Link
ふぇみん婦人民主クラブ
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福島原発30キロ圏ひとの会
福島原発事故緊急会議
ふくしま月あかりの会
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仏教徒非戦の会・福岡
仏法山禅源寺
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プルトニウムなんていらないよ!東京
プルトニウムフリーコミニケーション神奈川
ふろむ・あーす & カフェ・オハナ
平和憲法をひろげる兵庫県民会議
平和と生活をむすぶ会
「平和への結集」をめざす市民の風
ベクレルフリー北海道
ボイス・オブ・ヒロシマ
放射性物質拡散NO!の会
放射能防御プロジェクト近畿
放射能からいのちを守るママの会・東大阪
北海道自由エスペラント協会
毎月26日のランチタイムに関電前に集まる女たち
マインドライフメンタルケアルーム
mame-ten-cafe
三島・原発震災を防ぐ風下の会
「緑」の京都・準備会
緑の党
みどりの未来・ふくしま
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
みらいアクション青森
未来の生活を考える会
未来の福島こども基金
MOX反対伊方の会
(株)森と暮らすどんぐり倶楽部
ヤ〜ルーの会
山田さんを支える会
よそものネット
劣化ウラン研究会
労働者共闘
610放射能から未来を守る市民の会
若狭連帯行動ネットワーク
台湾環境保護連盟
PLAGE
香港人道協会
ワルヒ・バンカブリトゥン

(団体: 209、個人:985) 

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