ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.82より

菊地洋一先生の台湾訪問

                チェ・スーシン(告F公民行動連盟)
 
 近ごろ台湾の社会と主流マスメディアは、政治界の悪質な対立で混乱に陥っている。これから確実に生活の安全を脅かすさまざまな問題に対し、誰も関心を持たなくなってしまった。

 ずっと議論されてきた施工中の第四原発は、今も安全性や環境破壊の問題で民間に強く不信任感を抱かれている。

 3年前、元GE企画工程管理担当者の菊地洋一さんが台湾を訪問し、第四原発の建設現場に「3点」の点数をつけた。台湾電力はこの発言に強く反発したが、菊地さんが教えてくださった専門知識は、台湾への重要なメッセージとなった。「原発は設計から工事上の問題まで、極めて大きな安全危機が隠れている」。

 行政院がまもなく原発の追加予算を通過させるこの時点で、私たちは再び菊地さんを招き、演説や関連機関の訪問活動を行った。日本における原発の現状を紹介することによって関心を募り、社会にこの問題を重視させようと試みた。

● 第四原発の現状

 第四原発の施工進捗状況は、工事が45.41%まで進んでおり、2基の原子炉の運転予定日はそれぞれ2009年と2010年に延期された。台湾電力は相場や利率、物価の変動などの事情を理由に、1697億元(約6100億円)から2461億元(約8800億円)へという大幅な投資総額の増加を政府に要求した。原発建設はいろんな事情で予想した金額の倍以上の費用を費やす。この問題はもとから各国に存在する実例である。しかし台湾の場合は、それを全て反原発運動のせいにした。マスコミは、2000年の3ヶ月の工事停止が原因で、経費が大幅に予想を超えたと指摘している。台電により算出された増額にたくさんの不合理的な状況が存在し、汚職につながる容疑さえありうる事態を誰も疑わない。


                   1号機原子炉建屋の上部

 行政院が台電の予算追加法案を通過させようとする行為は、我ら環境団体を相当失望させた。彼らは一度非核国家を約束した政党である。しかし今は政治的な要素で妥協してしまい、政府の担うべき責任を放棄した。台電の気ままな予算追加を許し、国費が数百億元単位で費やされたが、彼らは依然として原発安全の確保に積極的なとりくみもせず、民間に信用される監督機関も設けない。

● 技術者の気質

 菊地さんは再び第四原発の建設現場に足を運んだ。3年前の経験のせいか、今回台電側にはおごそかな雰囲気が感じられる。上層管理役の職員と工程師も席に出揃っている。数多くの環境団体と記者陣も入場したので、台電は混雑を利用し、簡単に予定を済まそうとしたが、菊地さんは台電の一方的な解説を聞く意欲がないと言い、今すぐ建設現場を確認したいと要求した。建設現場に入り、台電の警戒心がますます高まった。1号機の原子炉建屋の前で、原子炉の周辺工事を見たいと申し出た私たちの足を止めた。断固たる交渉の結果、台電はようやくしぶしぶ数人のみの入場を容認した。

 短時間の見学で、著しい問題は発見されなかったが、工事の品質と職人の態度はうわべを見ればわかるものだ。台電は一生懸命参観者全員に好印象を与えようとしたが、それは全て表面的な礼儀にとどまり、あまり真剣に見てほしくないという本音は見え見えだ。たとえばある配管熔接工場の前で、台電はすぐさま私たちを止め、「こちらは下請け業者に任せた工場なので、勝手に入ってはいけません」と言い出した。この対応に対し、菊地さんはこう言った。「全ては下請け任せ、何かあったらすぐ下請けの責任だと言う。厳しい管理も行わないで工事を続ければ、台湾には大変な問題が起こると思います」。

 日本は厳格な工事管理のもとで原発を立てた。それでも最近トラブル事件が相次いで起こっている。一方台湾の建設現場は、管理者らしい者さえ見あたらないのだ。

 現場の見学を終えた後、菊地さんは長い時間をかけ、台電職員に日本の原発に起きたさまざまな問題や、ABWRの欠陥点を解説した。昔の台電職員は、いつも反原発運動者の専門知識のなさをあざ笑っていたが、今回は少し態度を改めたようだ。約1時間の演説で、彼らは意外にも根性よく最後まで聞いた。しかしこれもただ我ら反原発者を慰める行為にすぎないだろうか。台電を離れた後、菊地さんは感慨深く言った。「台電の職員に何かを指摘したら、すかさずハイハイと返事し、ありがとうございますとまで言うけど、そのありがどうの言葉にあまりにも感情が含まれなかった。技術者としての気質をまったく感じられなかった」。

 台湾人の一人である私は悲しくなった。台湾では専門技術者を育成する時、社会的責任の大切さを教えようとしない。だから地震が起きて倒れるはずのない家屋も倒れ、インフラ建設がすぐ壊れてしまう。お金のために手抜き工事を行い、安全問題の処理は適当。竣工後事故が起きても責任逃れをする。これはまさに悪名高い台湾の公共建設工事の実態である。菊地さんが台電職員の仕事態度を観察し、彼らは安全な原発を作れる力があるとは考えられないと話した。私たちは思わず焦慮に駆られた。


                1号機原子炉建屋の上部

● 科学者の精神

 台湾の知識層は原発推進派が国際社会でばらまく宣伝情報をうのみにする傾向がある。これは台湾で反原発理念を宣揚する際、一番大きな障害となる。本来反原発運動に同情する人も、原子力は地球温暖化対策の一環だと信じ込み、原発の危険性をうかつにも忘れてしまった。

 台湾の科学界を仕切る人物 ― 中央研究院の李遠哲院長はまさにその一人である。民間と政治界で大変影響力を持つ李院長が、数ヶ月前からこのような話をし始めた。「地球温暖化を懸念し、これからは二酸化炭素の減量に向け、原発は仕方のない選択になるかもしれない」。

 この発言は昔の彼の反原発立場とは逆さまで、社会で話題を呼んだ。環境団体がすぐ彼に尋ねたが、李院長は「原発反対の立場は変えていない。その発言はマスメディアの意図で勝手に解釈された」と話した。

 私たちは日本近年の原発問題を彼に理解させるべく、菊地さんと会談する機会を設けた。会談は李院長の流暢な日本語でスムーズに行われた。

李院長は「台湾の原発技術は未熟で危険なものだと認識している」と話した。アメリカで研究をした頃も、米国政府の原発部門の役人からGE社の原子炉は危ないという話を聞いたらしい。「原子炉を買うならフランスから買うべきだった」。彼は当時の総統李登輝氏にこう報告したけれど、やはり台米関係で既成事実を変えられなかったそうだ。彼は「原発に重心を置くのではなく、台湾は小型発電所も発展させるべきだ」と表明した。どうやら彼は今回の話を多少受け入れたようで、私たちは少し安心した。

 しかし李院長の戸惑いも感じられた。彼は多方面から大量な情報を吸収する人間である。話の中で「日本の温暖化会議に参加した時、向こうの学者が原子力は必要だと言ったから、やはり原発は捨てられない」という発言を吐き出したものだから、もし今日誰かが原発のいいことを口説けば、彼はまた影響されるだろう。 

 温室効果気体の減量は、産業形態の変換から着手すべきものだ。危険性のある原子力を抱えることは自殺に等しい。温暖化の対策で原発を発展させるというのは、焦点をぼかす行為ではないか。私たちは、もっと原発の真相を暴き、社会の意識を変えることを目指す。

● 政治家の言う「しょうがない」

 私たちは、台北県の副知事である李鴻源(リ・ホンワン)氏、立法委員の王塗發(オン・トーファ)氏も訪問した。

 現在台北県の知事は原発推進派の国民党の周錫?(ゾー・シィウェ)が担当しているが、彼の核廃棄物に対する関心や積極的なやり方は、反原発を掲げる民進党より優れたものである。所属政党が推進にせよ反対にせよ、原発の安全問題は避けられない。私たちはその旨を県に伝え、今回の交流を図った。李副知事は丁寧な対応をし、菊地さんの経験をじっくり聞いていた。話の後、彼は「きちんと台電の核廃棄物処理を監督する」と約束した。

 反原発運動はこれまで国民党とは別世界の者だったが、これからはコミュニケーションの場を作る必要性があると感じた。

 一方、今までずっと反原発の前線に立ってきた民進党の王塗發氏は、かえって悲観的だった。「台湾の政治現状にはがっかりさせられている。体制内で原発を中止することはもはや不可能だ。いくら原発の安全問題を提起しても、政治界でもう何も注目を集められない」と言う。

 民間団体は自分なりの力で反原発運動の盛況を再建するしかない。この前アメリカの元副大統領ゴアが気候変化ドキュメンタリーを出したのはひとつよい例である。今回の会談で、私たちは民進党の無能さを再び痛感した。彼らはいつも「しょうがない」と支持者に言い、現実の利益ばかり追求する。本物の運動者にとって、悲観する権利などはない。私たちは過去の失敗を反省し、政党の援助に頼らず、新しいスタートを探さなければならない。これこそ仕方のない現実を克服するすべなのだ。

 最近数年、原発優等生と呼ばれる日本で相次いで原発のトラブルや事故が発生した。たとえば耐震性の不足や、シュラウドと配管の亀裂問題など。台湾は日本と同じ原子炉を使い、しかも同じ多地震国家である。日本にある問題は、台湾にも起きる可能性が非常に高い。私たちは日本の経験を学び、台湾政府に原発の見直しの切要さを伝える。

 もし原発に万が一のことがあれば、狭くて人口密度の高い台湾では耐えられない大惨事になる。

 今回菊地さんが再び台湾を訪れ、私たちに原発安全の専門知識や問題提起をしてくださったことに感謝の意を申し上げる。そして長期間にわたり、いつも積極的に交流の場を作り、熱い応援をして下さるノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパンにも感謝を言いたい。市民が国家とたたかうのは非常に困難だ。しかし、国境を越えた支持と励ましが私たちに勇気を与えてくれる。これからもお互いの手をつなぎ、反原発運動の道を歩んでいこう!


       2年間、倉庫に置きっぱなしの2号機原子炉圧力容器(東芝製)


― 台湾を訪問して ― 

「結びつきを強くして、協力し合おう」

       菊地洋一(元GE企画工程管理担当)

 9月13〜16日の台湾訪問で強く感じたことの要点のみを、きわめて簡単ながらレポートさせていただきます。

 原発輸出国日本の脱原発メンバーの一人として、私たちが台湾の現状に対して何ができるか、また、何をしなければいけないのかを知る上で、今回の訪問は非常に有意義であったと思います。

● 第四原発の現場視察で感じたこと

 今回の訪問で最もインパクトを受けたのは、第四原発建設工事の溶接現場を見ながら、台電社員が「工事はそれぞれの会社の自己責任でやってもらっている」と説明した言外に、「だからとくに検査をしなくても・・・・」というニュアンスが非常に強く感じられたことです。

 原発現場での溶接検査は厳重に行なわれるべきで、全面的に下請けに任せてよいものではありません。

 現場視察中、グラインダーで全面的に削りまくられたステンレス配管が多数、床の鉄筋の上に直接放置されているので注意したところ、「重要な配管ではないのでかまわない」という台湾電力社員の返事。治金工学的知識の無さもさることながら、原発の安全性に関する意識の低さにも驚きました。全体的に検査の厳しさが感じられず、QC上の不安を強く感じたのは、今回も同じでした。


                1号機原子炉建屋の上部

 台湾電力とコンサルティング契約していたエンジニアリング会社(ストーン&ウェブスター社)が倒産し、今後について質問したところ、「台湾電力が自社だけで全体をまとめていけるので、問題ない」との返事でしたが、本当に大丈夫なのかと心配になります。

 台湾電力の原発工事の発注方法が、ミミズの細切れの様にバラバラな状態なので、全体的に検査が適切かつ厳しくできる体制になっているか、さらに、検査体制が理想的に機能しているかが、安全上の最重要事項です。しかし、いくら施工検査を厳しくしても、材料も含めた設計上の問題もあって、それだけでは原発の安全を確保できないことは言うまでもありません。
 
 現場では、建物のメイン・アクセスにつながる広場のあまりの凸凹さ加減にも驚きました。工事の安全を考えるなら、一般の建築現場でも整地されて当たり前の場所だったからです。

 現場の仮設工事の状態を見れば、その現場の責任者の実力と建物のでき栄えが予測できると言われますが、「これが原発のサイトか」と驚くほどプアーな状態だったことは、台湾電力の会見場で述べた通りです。

 余談にはなりますが、3年まえに第四原発建設現場の状況を最低と評したところ、新聞・テレビ・雑誌等で「3点」問題として大きく取り上げられ、台湾電力をかなり怒らせてしまいました。

 今回も笑顔でシェイシェイと言ってはいても腹の底は見え見えで、現場視察後は「これで、あなたの視察も終わりですね」と、まるでもう来てほしくないと言わんばかりでした。

 しかし、台湾電力の会見場で社員や記者や原発反対の人たちを前に、私の現場体験や原発の危険性を真剣に訴えたところ、「私はあなたの意見に同意します」と、こっそり言いにきた人もおり、日本の電力会社の社員と同じなんだな〜と感じたりもしました。

● 敷地について

 第四原発の敷地は、風光明媚な白くて長い砂浜に接しており、何でこんなところに原発を作るのかと嘆きたくなります。


    自救会の呉文通会長と菊地さん、向こうに抗日記念碑と第四原発

 原発周辺の海には、200以上の種類の貝が棲息するなど、豊かな自然環境があると、台湾電力の立派な小冊子には記載されていましたが、いつの日にか放射性物質によって汚染されてしまいそうで、原発輸出を認めた日本政府の無責任さに腹が立ちます。

 女川原発の建設予定地を下見に行ってきた日本のプラントメーカーの現場責任者が、「菊地さん、あんなに自然環境の素晴らしいところに原発なんか造るべきじゃないですよ」と、言いにきたことがありますし、敦賀原発の敷地が建設前にはどんなに素晴らしかったかを語っていたGEの先輩もおりました。

 原発は環境破壊が目にはっきりと見えにくい場合でも、自然環境に大きな悪影響を与えます。チェ・スーシン監督の記録映画「こんにちは貢寮」は台湾の第四原発地域住民と上関原発の祝島住民の心を強く結びつけたそうですが、祝島周辺の豊かな自然環境もぜひ護りたいものです。

● 大規模デモ騒動
 
 今回の台湾の連日のデモ騒ぎで、予定していた国会議員とは一人としか話し合えず、とても残念でした。東洋で最初に脱原発を実現してくれると思われた台湾でしたが、第四原発の工事予算が大幅に追加されてしまいそうです。

 それにしても、陳水扁総統退陣を求めるデモには驚かされました。今の日本ではとても考えられない、何日続くのかもわからぬ連日のデモでした。

 人数はテレビ局によって大きく違っていても、25万人、50万人、今夜中には75万人に・・・・等、どれが本当の人数なのか全くわかりませんでした。

 この連日のデモは9月15日までは台北で、16日からは場所を地方に変えるとのことでしたが、テレビの映像は何故か赤一色で、まるで中国での大集会かと思える状況でした。16日からは民進党が20万人を目標に集まるとのことで、集会場所は緑色に一変しました。前日までのデモの赤色に、ある台湾人女性が恐怖を感じたと新聞に出ていましたが、東京とは違い、台北は中国からの渡来人と現地の台湾人が政治的に対立しつつ住んでいることが、今回の台湾訪問でいくらかわかりました。

 日本陸軍が初上陸した第四原発敷地前に抗日記念碑が建っていることは、この通信を読んでいる人ならほとんどの人が知っていることでしょう。しかし、アメリカ原住民の悲劇を知る人も、日本人と台湾の原住民との間に起きた「霧社事件」なる惨事については、あまり知らないのではないかと思います。そう言う私も3年前に、今回も同行してくれたNNAFの佐藤さんに本を紹介されて読むまでは全く知りませんでした。当然のことながら、侵略され迫害された側の多くの台湾人は知っているのだそうですが・・・・。

 原発は、被曝作業なしでは維持できませんし、常時、環境を汚染し続けます。大きな事故を起こせば被害は長く続きます。

 第四原発は持って行き場のない高レベル放射性廃棄物(使用済み燃料)を大量に生み出し、今まで以上に台湾の人々に不安を与えることになるでしょう。
台湾と日本は世界の地震多発地帯に位置している故に、現地住民の強い反対の意思を無視した原発輸出は、再侵略と言われても当然のことで、本当に心苦しいことです。

● 李遠哲氏との対談
 
 中央研究院の李遠哲院長は台湾で絶大な影響力を持つノーベル化学賞受賞者です。今回、その李氏との会談が設定されたのは、彼が「地球温暖化防止のためには、炭酸ガスを排出しない原発もやむをえないのではないか」との意見を述べたため、政治家や世論がまたもや原発推進に傾きだしたと言われているからでした。

 1936年生まれの李院長は日本語が堪能で、通訳に要する時間が省かれたため、非常に有意義な会話ができました。その李院長がアメリカの原発技術に対して否定的だったこと、ヘリウムガスを冷却材に使う高温ガス炉やヒートパイプによる高温岩体発電の現状や弱点についてもよく知っておられたのには、正直なところ驚きました。



 しかし、初対面でなおかつ時間的に制約があったにしても、脱原発運動に協力していただくまでの話に至らなかったのは、とても残念でした。

 原発の危険性については、かなり伝えられたとは思いますが、肝心の炭酸ガス問題については、もっと突っ込んだ話し合いをしたかったと思いました。

 「原発は魚の温泉です」と電力会社が宣伝していますが、冗談はよしてくれと言いたくなります。原発はウラン採掘から濃縮および燃料加工、廃液や残土処理に膨大な量の化石燃料が必要です。使用済み燃料や高レベル廃棄物を長年にわたって、安全に保管して置くために必要な化石燃料の量は今のところ見積りようもありません。原発は発電効率が非常に悪く、長距離送電によるロスもあります。また、原発の廃熱は地球を確実に温暖化します。

 原発は、建設とメンテナンスに巨費を要する炭酸ガス発生装置なのです。しかも、装置は地球を暖めるために、昼夜の別なく運転され続けているのです。

 原発からの温排水の量は膨大です。海を「魚の温泉」にすることで、海水の炭酸ガスが大気中に放出され、海水の炭酸ガス濃度は減少し、その分だけ大気中の濃度は確実に上昇します。疑問があれば、水温が高くなると気体の水に対する溶解度が低くなることを丸善発行の理科年表ででも確認してみてください。

● 今後の台湾の脱原発運動

 樺太からアリューシャン列島、日本〜台湾は世界でも有名な環太平洋火山帯で、いつか大地震や津波に襲われる可能性があります。

 近年、第四原発に程近い海底にいくつもの活火山が発見されましたが、日本同様に巨大地震が近くで起きることもあり得ると考えるべきです。

 台北の弁護士グループに、志賀原発、女川原発、浜岡原発の状況を説明し、台湾でも地震による原発震災をテーマに裁判で戦うことから始めたらどうかと提案しました。電力会社から欲しい情報を入手するためにも裁判は強力な手段です。

 台北県の副知事にも会いましたが、彼は台湾大学の教授でもあり、県民を放射性被害から護らなければとの意識が非常に強く、協力していただけそうなのがとても嬉しく感じました。

 今回の台湾訪問で強く感じたのは、台湾と日本の原発に反対する人たちが、今まで以上に結びつきを強くして、実質的に協力し合うことが大切だということです。

 インターネット時代ですので情報交換なども大いにできるのではないかと思います。とくに、弁護士さんたちの交流を意識的に深めるべきでしょう。

 最後になりましたが、今回お世話になった通訳のチン・ジョンリンさんとライ・チンソンさん、それから緑色公民行動連盟のチン・ウィジさん。チェ・スーシン監督との交流ができたことにより、台湾の脱原発の歩みが確たるものになると感じられたことが何よりも嬉しく感じられ、ここに敬意と感謝の気持ちを述べさせていただきます。ありがとうございました。



ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.82もくじ


No.82(06年10月20日発行)B5版34ページ   

●「韓日反核フォーラム 2006」参加よびかけ 
               
●北朝鮮核実験に対する声明
(グリーンコリア・韓国青年環境センター・統一連帯) 
 
●菊地洋一先生の台湾訪問(チェ・スーシン) 
              
●結びつきを強くして、協力し合おう (菊地洋一)
 
●台湾人よ! 目を覚ませ!(陳炯霖)

●菊地洋一氏、原発の安全問題を重視するよう呼びかける(李育琴)

●「アジアの新原発反対キャンペーン」相談会(フィリップ・ワイト) 
   
●タイにおける核の状況についての報告(アイダ・アルーンウォン) 
     
●日本政府への要望書
「原子力供給国グループの対印原子力貿易規制撤廃に
反対することを求める」(原子力資料情報室ほか)   

●ピョンテク・住宅強制撤去を目前にした緊急アピール        
   
●平和大行進、2万人の楽しい大同マダン(チェ・ビョンソン) 
                

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