ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.82より

北朝鮮の核実験に対する韓国市民団体の声明



「東北アジアの平和を脅かす北朝鮮の核実験を糾弾する」

 北朝鮮は9日午前、核実験を成功裏に実施したと発表した。
 北朝鮮は、核保有が自国の安全のためやむをえない選択だと強弁しているが、北朝鮮の核実験は北東アジアの平和を脅かす最悪の選択である。緑色連合は、韓半島を含む全世界の核兵器をはじめとする一切の核関連武装と実験に反対してきた。北朝鮮の今回の核実験は1992年に締結した「韓半島非核化宣言」に対する明白な違反である。したがって緑色連合は、北朝鮮が自らの誤った選択を一日も早くただし、核の放棄を宣言するとともに、NPT体制への復帰等、国際社会との約束を守ることを求める。

 北朝鮮は核実験を強行することによって、自らが行ないうる最後の選択を執ったわけだ。したがって今後残されたのは、これに対し韓国、米国を含む国際社会がどのように答えていくかという問題だ。

 いかなる選択であれ、武力を使用してはならないという原則は守られなければならない。韓半島で武力が使われる瞬間、数百万以上の無辜の死を避ける道がないことを、米国を含む国際社会は知るべきである。

 次に、北朝鮮だけでなく、核兵器を開発しようというどの国であれ、核兵器開発が最悪の選択であることを認識できるよう国際社会が強力なメッセージを伝えていかなければならない。

 北朝鮮と韓国を含んだ国際社会の緊張関係は、短期間は持続せざるをえない。しかしこの緊張状況を、武力使用という最悪のシナリオに推し進めてはならない。韓米連合軍事訓練であるチームスピリットを再開し、駐韓米軍の戦術核兵器を韓半島に再び配置する案がすでに提起されている状況は、最悪のシナリオを誘発するものでしかない。このような論議は解決案から排除されるべきである。

 問題解決の核心は、ひとまとめに解決していこうという包括的一括妥結だ。クリントン政権時、北朝鮮と米国は韓半島の平和のための前提条件を用意するための包括的一括妥結に限りなく近づいた。しかし、北朝鮮を悪の枢軸と規定するブッシュ政権になるとともに、このような包括的一括妥結の試みが水泡と帰したのである。この点を米国は肝に銘じるべきであり、対話のための前提条件である対北朝鮮金融制裁措置解除をするべきである。

 転禍爲福という言葉がある。北朝鮮の核実験強行という緊迫した危機状況を、北東アジアの平和体制構築のための契機とすることができるよう、今こそ私たちの知恵を集めて多様な対話チャンネルを稼動しなければならない。北・米間の対話と六者会談等、多様なチャンネルを通じた対話が必要とされる時である。

2006年 10月 9日 
緑色連合(グリーンコリア)


「韓半島と北東アジアの平和を脅かす、北朝鮮の核実験を糾弾する」

 北朝鮮が今日(9日) 午前、核実験を強行した。北朝鮮はさる93年、NPT脱退を宣言して以後、いわゆる「瀬戸際外交」の戦略に核兵器を利用してきた。とくに10月3日には、外務省声明を通じて「核実験を強行する」という事実上の最後通牒まで終えた状態であったので、今回の核実験以後、韓半島をめぐる国際情勢が緊迫した動きをみせるものと予想される。

 私たちは核兵器を利用して自国の安全を守ろうという北朝鮮の態度を強く糾弾する。
 核兵器不拡散の原則に従い、北朝鮮だけでなくどの国家でも核兵器を開発してはならないし、すでに核兵器を所有している国家は、核兵器解体と核技術抑制政策を進めなければならない。

 南と北は92年、核兵器の試験・製造・生産・保有をしない「韓半島非核化共同宣言」をしたことがある。韓半島非核化共同宣言は、南北の緊張関係を緩和し、北東アジア平和のための最小限の共同合意であった。

 しかし今回の核実験は、韓半島非核化共同宣言を白紙に戻すものとして、今後北東アジアの核兵器拡散に火をつける契機となるだろう。すでに日本は、北核危機などを名目に六ヶ所村に核再処理工場を稼動しており、韓国の右翼勢力も「核武装論」をこれまで以上に主張してきているというのが現実である。

 このような状況で、北朝鮮の核実験は東アジア情勢に重要な影響を及ぼす新たな要因となるだろう。

 私たちは北朝鮮の核実験が 米国を中心に進められている北朝鮮に対する悪意的な無視、排除による結果であることをよく知っている。これは現在の北の核危機をめぐる、より大きな問題の根源であり、これが北朝鮮の「瀬戸際外交」の名分になっている。これは現在行われている北核危機の一方の責任が、米国を中心にした六者会談の当事国らにあるということだ。

 しかし、このような国際関係を、今日の北朝鮮の核実験を正当化する根拠とすることはできない。核実験のような「瀬戸際外交の最後のカード」まで出した状況では、韓半島は「核兵器による戦争抑制」ではなく、新しい葛藤と反目の中心地になるだろうからだ。

 何にもまして、東アジアの民衆全体を担保(人質)とした北朝鮮の「政治的博打」という点で、今回の核実験は糾弾を受けて当然である。

 韓半島に平和を根付かせることは決してたやすい課題ではない。
 韓半島の平和定着は、北朝鮮が行った核実験のように、「瀬戸際で北東アジア全体を威嚇する方式」では成し得ることができないし、一部韓国内の保守右翼団体が主張する様に、「経済的、軍事的対応」を通じては、さらに成し得る事ができない。

 核実験は明らかに韓半島をはじめとする北東アジア全体を緊張関係に追い込む行為であるが、これに対する感情的対応はむしろ平和から遠ざかるものだ。

 新しい局面から韓半島危機を克服するための解決策が進められなければならない。現在の危機を賢明に克服するための実質的で平和的な方法が摸索されるべきである。また中長期的には北の核危機への対応だけでなく、韓半島の平和体制構築のための積極的で真摯な考察と議論が共に進められるべきであろう。

2006年 10月 9日
青年環境センター


−平和と共存共栄の未来のため前向きの決断を促す−

「米国は北に対する制裁を中断し、直ちに米朝対話を行え」

 
 9日、北の「核実験を成功裏に行った」との発表は、内外に大きな衝撃を与えた。
 私たちは朝鮮半島、ひいては全世界で核兵器が廃絶され、互恵平等、平和共存の原則のもとで国際関係が発展することを心から願っている。また、その方法は明確に平和的で合理的でなければならないと考える。そのように見たとき、米朝間の葛藤と対決がついに核実験にまで激化してしまったということは、非常に遺憾なことだ。
 
米朝の葛藤と対決を解決する基本方向は、 94年のジュネーブ合意と2000年の米朝共同コミュニケ、9.19の六か国共同声明で合意された朝鮮半島の非核化実現と関係正常化、平和保障体制の構築によって問題を根本的に解決しようとするものだった。これらの合意が忠実に履行されていれば、平和は実現していただろう。

 しかし、これら合意は履行されず、朝鮮半島は一触即発の緊張状態に包まれている。

 このように合意が無力になったのは、米ブッシュ政権の敵対政策にその原因がある。北に対する敵視政策は、関係改善と矛盾する。

 ブッシュ政権はこれまで一貫して北への敵対政策を強化し、特に 9.19六か国共同声明の発表直後には、未確認のいわゆる「偽装紙幤」問題まで持ち出して、制裁を全面化しつつ軍事的脅威も強化させ、9.19共同声明を無力化させてしまった。

 このような圧迫政策は必ず強い抵抗を呼び起こすように、合意を反故にして力で北を屈服させようとした米国の強硬政策こそ、北の核保有という強硬な対応の基本要因となった。

 今回の核実験後、米国と日本は安保理の追加制裁を扇動し、南側政府も対北政策の転換を示唆している。はなはだしくは「軍事的制圧」のような極端な主張まで垣間見える。

 しかし、このような強硬姿勢がむしろ北の強い抵抗を招くだけだというのは、すでに核実験という結果で確認されている。
 
 米国は状況をさらに悪化させる一切の制裁を中断し、米朝の直接対話に積極的に乗り出すべきである。米国は対話で解決するとしながら、決して安保理の追加制裁や対北封鎖を行ってはならない。とくに、船舶拿捕と強制臨検などの措置は、物理的衝突を招く深刻な挑発行為であり、絶対あってはならない。

 米国が真に非核化と平和を願うなら、北への圧迫政策を中断し、平和共存の政策に転換する決断を下すべきだ。

 対北制裁のお先棒を担ぐと自認している日本は、状況悪化をけしかける行動を直ちに中断しなければならない。日本は北への強硬制裁を煽りながら状況をさらに激化させており、これをもとに軍国主義的な右傾化を合理化している。

 日本は自国の軍国主義的目的のために、東北アジア一帯の緊張を高める恥ずべき行動を直ちに中断しなければならない。

 南側政府が対北政策の根本的変化を示唆したことは、状況への介入力を自ら放棄することのみならず、6.15南北共同宣言を全面破棄する立場となる。政府は米国の圧迫政策がもたらしたこの局面を冷静に見るべきであろう。

 最近になって核実験を行った国の中で、唯一北のみを制裁の対象と規定する状況は決して合理的だとはいえない。朝鮮半島の平和と統一は、どちらか一方を武力と圧力で屈服させ実現されるものではなく、米日の覇権政策に追従することは大変愚かで危険千万なことだといわざるをえない。

 南側政府は開城工団の経済協力事業と金鋼山観光事業など、平和志向的で建設的な南北協力事業をも中断させようとする内外の好戦勢力の煽動に決して乗せられてはならない。

 今こそ南北の和解協力政策を積極的に推進し、平和と統一という確固たる志向を内外に示すことこそ必要なときだ。

 私たちは、朝鮮半島の平和を守る力は、わが民族にあることを信じて疑わない。
 もしも米国が対北敵視政策や戦争脅威をあおり、状況をさらに悪化させるようならば、これを阻止粉砕するための炎は大きく燃え上がり、東北アジアにおいて何とか保っているその影響力さえも深刻な打撃を受けるだろう。

 平和と共存共栄の未来のために、再度各国の賢明で前向きな決断を促すものだ。   

2006年 10月 10日
<6.15南北共同宣言の実現と朝鮮半島の平和のための統一連帯>
苦難を受ける人々と共にする会・キリスト教市民社会連帯・南北共同宣言実践連帯・大韓民国臨時政府記念事業会・文学芸術青年共同体・民族問題研究所・民族民主烈士犠牲者追悼連帯会議・民族自主平和統一中央会議・民族和合運動連合・民主労働党・民主社会のための弁護士委員会(民弁)統一委員会・民主化実践家族運動協議会(民家協)・反米女性会・金九精神実践同胞連合・仏教平和連帯・非転向長期囚送還推進委員会・四月革命会・実践仏教全国僧家会・民家協良心囚後援会・自主女性会(準)・全国農民会総連盟(全農=農民連)・全国大学新聞記者連合(全大記連)・全国牧会者正義と平和実践協議会・全国民族民主遺家族協議会(遺家協)・全国民主労働組合総連盟(民主労総)・全国貧民連合(貧民連)・全国女性農民会総連合・祖国統一汎民族連合南側本部(汎民連)・祖国平和統一仏教協議会・カトリック統一後援会・青年統一のひろば・統一広場・統一を迎える文益煥牧師記念事業会・統一を迎えるハンシン連帯・韓国カトリック農民会・韓国労働社会研究所・韓国労働組合総連盟(韓国労総)・韓国大学総学生会連合(韓総連)・韓国青年団体協議会・韓民族生活文化研究所・21世紀コリア研究所・COREA平和連帯
                          (「日韓ネットニュース」第47号より転載)
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