ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.78より

六カ所核再処理施設の稼動は
ドミノ現象を呼ぶ


                       ソク・クァンフン(グリーン・コリア)

パグウォッシュ会議など世界各国科学者たちと市民社会の中断要請にもかかわらず、日本政府は六カ所核再処理施設の試験運転を終えて本格的な核再処理を強行しようとしている。

日本がこの施設で本格的な核再処理をする場合、年間プルトニウムの生産量は8トン規模で、純度を考慮しても年間1000発の核弾頭を作ることができる分量だ。

現在韓米日3国があのように憂慮する北朝鮮核問題が、事実は「核弾頭3〜4個(その性能は非常に疑わしい)を作ったのか否か」ということを考える時、六カ所は北東アジアの平和にずっと深刻な脅威になるということは明らかである。

また六カ所核再処理施設が本格的に運転される場合、発生する環境問題も恐ろしいほどである。使用済み核燃料の中に蓄積されていたさまざまな放射性核種は再処理過程で周辺施設と装備へ拡散される效果を起こして固体放射性廃棄物の体積が約160倍に増大される。

また周辺の海洋と大気中放射能汚染も深刻になる。ヨーロッパではイギリスのセラフィールド再処理施設稼動によって、隣近アイルランド、ノルウェーはもちろん1000km以上離れたアイスランドまで、セシウム137が他の地域より高く検出されている。

しかし不幸にも、六カ所再処理施設の稼動問題は、現在北東アジア地域のどんな外交チャンネルでも公式議題で扱われていない。

むしろ韓日両国で、右翼民族主義政治家たちの核再処理関連突出発言、核武装を素材にした文化産業が大衆的人気を謳歌している。これらはまだ脅迫的な水準ではないにしても、六カ所再処理施設が本格稼動される場合、火薬庫の前での火遊びのようになる状況を演出するように見える。

六カ所再処理施設が北東アジア地域で議題化されない主要理由は、アメリカと国際原子力機関(IAEA)の傍助、隣国である南北韓の傍助のせいであると思われる。

アメリカとIAEAの傍助は、日本原子力界が核再処理のために1960年代からアメリカの官僚たちに対する組織的なロビー活動をしてきたし、現在日本がIAEA財政の最大後援者だという背景の中で理解することができる。

一方南北韓の傍助は、自主的な核プログラムと微妙な関係でその原因を捜してみることができる。南韓は、1980年代から2000年代初めまで秘密裡に極微量のプルトニウムとウラン抽出を試みて、去年IAEAの特別査察まで受けるなど国際的な恥さらしを経験したことがある。北朝鮮も、自国の核再処理問題でアメリカとの力比べに没頭するだけで、意外に六カ所再処理施設稼動に対して特別に問題申し立てをしていない。

北朝鮮とイランには苛酷な制裁をしながら、日本には年間1000発の核弾頭を作ることができるプルトニウム生産を許容するアメリカとIAEAの態度は自己矛盾である。

非常に浅い自国の核プログラム開発に没頭するために、隣りの国で行われる大型プルトニウム生産施設には気を使う余裕がない南北韓政府の外交力は情けなくてしょうがない。
いや、むしろ、これら二つの国は六カ所再処理施設の稼動を阻もうと思うよりは、自国の核プログラムを正当化させるために、六カ所の稼動がほしいのかもしれない。

日本政府が念頭に留めおかなければならないことは、まさしくこのような核再処理ドミノ現象である。

はたして、六カ所核再処理施設で使用済み核燃料を処理しながら、6者会談で北朝鮮に「核再処理を中断しろ」という主張ができるのか?

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2月3日、韓国の国会議員10人が「六ヶ所再処理工場の運転開始は核拡散問題に悪影響をもたらすものであり、計画を撤回すべきだ」とする声明を発表しました。10人は、与党ヨルリン・ウリ党の李美卿(イ・ミギョン)議員を初めとする国際核軍縮議員ネットワーク(PNND)韓国支部のメンバー。
1月26日には、米国の議員6人が同様の趣旨の書簡を加藤良三大使に送ったばかりであり、これらの議員の行動は国際的な関心の高さを示すものです。
六ヶ所核再処理工場の稼動計画は撤回されなければならない。
「核情報」http://kakujoho.net/より


六ヶ所核再処理工場稼動と
核拡散を憂慮する
大韓民国国会議員ステートメント


2006年 4月、日本政府は使用済み核燃料 400トン(400,000kg)を使って、六ヶ所核再処理工場の本格的な試験稼動を開始する計画だ。この作業で日本は 2年間以内にプルトニウム 4トン(4,000kg)を抽出し、2011年からは毎年使用済み核燃料 800トンを再処理してプルトニウム 8トンを抽出するようになることになっている。

このようなプルトニウムは約 1000個の核爆弾を作ることができる莫大な量であり、北東アジア地域の安定に害になることはもちろん、世界核不拡散体制に深刻な脅威をもたらすと思われ、憂慮の念を禁じ得ない。

私たちは、次のような三つの理由で、日本政府に対して六ヶ所核再処理工場の稼動計画に対する見直しを促すものである。

第一に、この計画は、国際的な核不拡散努力の根幹を揺すぶることになるだろう。日本の核再処理工場の稼動とそれによるプルトニウムの保有は中国、イラン、北朝鮮などにとってプルトニウム保有に対する強い誘惑と口実を提供するようになるということを認識しなければならない。

第二に、この計画は、北東アジアの国々の間で新しい軍備競争を触発するようになるだろう。日本政府はプルトニウムを単に核燃料として使う計画だと言うが、最近の日本の軍事大国化を憂慮する北東アジア周辺国に「核武装意図」があるのではないかと言う疑念を提供することになり得ることを深刻に憂慮しなければならない。

第三に、この計画は、日本はもちろん、北東アジア全体に深刻な核汚染の恐怖を抱かせることになる。六ヶ所核再処理工場は放射能で汚染された気体と廃液を大気と海にそのまま排出するようになり、これはすなわち北東アジアの海洋汚染につながるだろうことを深刻に憂慮しなければならない。

2004年に韓国の科学者が研究目的に極少量のウラン濃縮実験をした際、日本政府が「韓国で六ヶ所村のような本格的な再処理工場が稼動されることを願わないし、国際社会はこんな国を簡単に信頼することはできない」と深刻な憂慮を示す主張をしたことを日本政府は想起すべきだろう。

もちろん日本が非核政策を維持するか否かは日本政府の政策選択の問題だが、韓国を含めた「周辺国の不安」と「再処理施設稼動」という誘惑を払い落とすことは難しいということを理解しなければならない。

私たちは、日本政府が、平和を望む自国国民はもちろん、北東アジアと世界が伝える憂慮の声に真剣に耳を傾けて、六ヶ所核再処理工場の稼動計画を直ちに見直すことを心より要請する。
また、韓国政府は、北東アジアの平和がなければ、韓半島の平和もはるかに遠いものにならざるを得ないという点で、日本政府の六ヶ所核再処理工場稼動計画について決して黙認せず最善をつくさなければならない。

2006年 2月 3日 国際核軍縮議員ネットワーク(PNND)韓国支部




ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.78もくじ

No78(06年2月20日発行)B5版40ページ

●六カ所核再処理施設の稼動はドミノ現象を呼ぶ (ソク・クァンフン)  
   
●六ヶ所核再処理工場稼動と核拡散を憂慮する
大韓民国国会議員ステートメント  

●日本の反核 (田中良明)               
         
●「核兵器廃絶の願い」と相容れない再処理 (西塔文子)  
            
●世界の反WTO民衆運動の勝利 (Nさん)

●第四原発、工事の遅れで3年後運転開始に  
                
●映画「こんにちは貢寮」採録シナリオ  
     
●追悼・申英植さん 
    
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