ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.69より

貢寮郷公所・郷民代表会・貢寮区漁協・貢寮郷村長連絡会・
塩寮反核自救会

共同声明


昨年6月に日本から輸送された第四原発1号機の原子炉の上陸に続き、2号機の原子炉が、7月4日に第四原発専用埠頭から台湾に上陸する予定である。この事態に対して、貢寮郷公所、貢寮郷郷民代表会、貢寮区漁協、貢寮郷村長連絡会、塩寮反核自救会はここに共同声明を発表し、第四原発原子炉の台湾への再上陸に反対することを死をもって誓うことを表明する。

貢寮という台湾東北端に位置する小村落は、民は純朴で、景観は心地よいことで有名だが、そこは1895年の甲午(日清)戦争で清朝が台湾を割譲した際に、日本軍が上陸した場所でもある。108年後の2003年6月、第四原発1号機の原子炉がこっそりと日本の広島から出港して貢寮から台湾に上陸した。このような恐怖を輸出し、憎しみを輸出するという行為が、再び台湾の運命に試練をもたらした。

われわれは台湾が原発墓場になるのを見たくはない。まして原子力産業はすでに先進国では斜陽産業であり、「非核家園」(非核国家)が世界的流れとなっているのである。貢寮の郷民は1994年の時点で住民投票を行い、96%が第四原発の建設に反対する民意を表明している。だから第四原発の建設は、「非核家園」という世界的流れに反するだけでなく、現地の民意にも逆らい、国際的な強権の圧力と政治的利権という妥協のもとで、麗しき貢寮を欠陥原発の試験場と生贄にしようとするものに他ならない。

われわれは、口を開けば「非核家園」を強調する民主進歩党政府が、安全に関して何の保証もなく、その責任を負って立とうとする責任者もまったく不在の原子炉を再度台湾に運び込もうとしていることをここに強く非難するものである。そして、日本企業が危険で安全について何の保証もない原発を輸出することを容認している日本政府を告発しなければならない。

今日、「三度目の侵略」である第四原発2号機の原子炉の到着に直面し、貢寮郷民は、郷長、代表会、漁協、村長たちおよび反核自救会の共同の呼びかけのもと、ここに強い抗議の意を表明し、あらゆる方法で2号機の原子炉を第四原発建設区域に運び込ませないことを死をもって誓う。

2004年7月2日 貢寮郷公所・郷民代表会・貢寮区漁協・貢寮郷村長連絡会・塩寮反核自救会
 
*「郷」は日本の「町」、「公所」は「役場」にあたる

抗議声明

日本政府の「公害輸出」に強烈に抗議する!


昨年6月に日本からやってきた第四原発1号機の原子炉の上陸に続き、2号機の原子炉が7月6日午後1時に貢寮郷の第四原発専用埠頭から台湾に上陸するようだ。日本企業が台湾の安全を脅かす原発設備を輸出することを容認している日本政府に対して、われわれは厳重に抗議するとともに、日本政府によるこのような無責任な「公害輸出」行為を厳しく糾弾する。

台湾第四原発が使用する原子炉(ABWR、改良型沸騰水型炉)は、アメリカのゼネラル・エレクリック社(GE)が設計し、日本の日立と東芝が製造したもので、柏崎刈羽原発の6号機、7号機と同じタイプのものであるが、これはBWRの3倍もの頻度で原子炉停止事故を起こしている。また、ABWRは製造コスト削減のために安全設備が大幅に縮小され、安全面に大いに不安があることを日本の専門家が何度も指摘している。台湾第四原発は日本の柏崎に続き、世界で2番目にこのタイプの原子炉を使用する原発になる。

沸騰水型炉(BWR)は日本で運転した結果、現在までにその半数(15基)でシュラウドにひび割れが発見されている。このような事故に対して、台湾電力は「特殊ステンレスSUS316Lで補強することでシュラウドのひび割れ問題を解決する」と強調するしかできない。しかし、一昨年に原子炉の亀裂事故が発覚した東京電力では、SUS316Lを用いて製造した配管に多数の亀裂が発見されている。この事実は、そもそも設計不良の原子炉においては亀裂という運命から逃れることはできないことを明らかにしている。

設計不良によって引き起こされるであろう恐るべき結果について、製造メーカーである日立と東芝はどちらも、製造にのみ責任をもつのであり、その他の責任はすべてGEが負うべきであると声をそろえて言う。日本政府は、このような無責任な日本企業が危険な原発を輸出することを容認しており、それは日本の国家としての尊厳を損ない、台湾と日本の民衆の間の感情を損なうものである。

このような事態に直面し、連盟はここに、日本政府によるこのような「強権による公害輸出」という行為に強く抗議し、日立と東芝の作ったはいいが責任を負わないというあきれた行為を厳しく糾弾するものである。連盟は国際的な反核団体と共に、日本政府、日立、東芝によるこのような無責任な行為に対して抗議を行う予定である。

2004年7月6日 
非核台湾連盟

支援団体:主婦連盟環境保護基金会、台南市環境保護連盟、台湾続授協会、台湾環境保護連盟、台湾環境保護連盟北海岸分会、永続台湾文続基金会、金山郷核能監督委員会、雲林野鳥学会、新莊社区大学、緑色公民行動連盟、塩寮反核自救会、花蓮県環保工作促進会、台湾蠻野心足生態協会、崔媽媽基金会、数位台湾家族、台湾陽光婦女協会、拳山堡文史工作室、李江台語文続基金会、台南松年大学、永和社区大学、台湾動物社会研究会、彰化県環境保護連盟、高雄市醫界連盟協会、台湾続師連盟、長栄大学自然生態保護社、台湾永続連盟、雲林県野鳥学会、雲林自然読書会、梅林社区発展協会、梅林文史工作室、北港文化工作室、嘉義舊監宿舍区保存與再利用推動小組、嘉義市旅外文化観察団、洪雅書房、環球技術学院親境社、環保生活協進会中部分会、緑色主張工作室、桃園県新世紀愛郷協会、台北市社区生活環境關懷協会、自然人環保文続義工工作室、自主学習資源交流中心、高雄市続師会生態続育中心、台湾労工陣線協会、全景伝播基金会、第3建築工作室、高雄自然読書会、淡水史田野工作室、台湾師大人文学社、台南市管芒花台語文学会、聖功修女会、高雄市緑色協会、嘉義県続師会、台湾南社、澎湖県沙灘保育協会、美濃愛郷協進会、澎湖環保協会、台湾政観社、民間反核国安小組、新港文続基金会、台湾人権促進会、台湾環境行動網、花蓮環境保護連盟、南島社区大学、台湾藍色東港溪生態保育協会、關懷生命協会、台湾留学生家長協進会、台東県野鳥学会苗栗県中港溪紅樹林環保人文連盟




ノーニュークス・アジアフォーラム通信 No.69もくじ

No.69(04年8月20日発行)B5版36ページ   

●台湾への原発輸出、海上抗議行動(松丸健二・市川平・西尾漠)     
●共同声明(貢寮郷公所ほか)
●日本政府の「公害輸出」に強烈に抗議する!(非核台湾連盟)      
●台湾第四原発訪問記 (神田香織)     
●核四公投へ(高成炎・施信民・張國龍)                 
●韓国・核発電所周辺5地域共闘「決議」                 
●核廃棄場計画を白紙にもどせ! (韓国・反核国民行動)
●特集:国際平和巡礼
(野川温子・扶安訪問団・多名賀哲也・中嶌哲演・土井淑平・三浦翠)
●Mihama-3 Nuke Station Accident(Hosokawa Komei)
●青森六ヶ所村核燃料サイクルの破綻(青森・山本若子)     

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