ノーニュークス・アジアフォーラム通信No.122より

日印両首相に対する

「日印原子力協定に向けた交渉の停止を求める要望書」


 5月27日、335団体による両首相への要望書を、内閣府とインド大使館に提出し、記者会見も行いました。               IWJ録画 → http://www.ustream.tv/recorded/33393641

 原発輸出だけでも言語道断な行為であるのに、核保有国への原発輸出に事実上のゴーサインを与えることになるこの協定は、なんとしても阻止しなければなりません。

                               ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン

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日印原子力協力協定に向けた交渉の停止を求める要望書

                                  2013年5月27日
安倍晋三 総理大臣

 インドのマンモハン・シン首相が、5月27日から日本を訪問する予定です。野田民主党政権のもと、シン首相は2012年11月15日から来日予定でしたが、衆議院解散により直前にキャンセルされました。予定される日印首脳会談での主要議題の一つは、日本からインドへの原発輸出を可能にする日印原子力協定に向けた交渉の推進についてです。

 インドは、核拡散防止条約(NPT)に加入しないまま、1974年にカナダから導入した原発技術を用いて核実験を行い、1998年には再度実験を強行しました。包括的核実験禁止条約(CTBT)にも加盟せず、「核保有国」であることを主張しています。

 石油関連の資源エネルギーに乏しいインドは、核燃料サイクル開発に積極的であり、ウラン鉱山から再処理施設までほとんどすべてを所有しています。しかし、それらのウラン鉱山や核関連施設の周辺では、これまで多くの健康被害や人権侵害が報告されています。

 過去2回のNPT未加入での核実験に対して、アメリカに主導された国際社会は、非常に厳しい原子力関連貿易に関する規制を、「原子力供給国グループ」(NSG、48カ国加盟)によって課してきました。日本政府も規制を厳守し、インドに対して原子力協力を一貫して拒んできたところです。唯一の戦争被爆国として、平和推進の立場、さらに「国民感情」からも対印協力はできないとしてきました。

 ところが2000年代中期、低迷する国際原子力産業界に押されて、ブッシュ米政権は対印原子力協力に方針を転換、国際原子力機関(IAEA)、NSGなどに「インド特例措置」を認めさせました。しかしNSGは、「国際社会としてインドへの原子力協力を容認した」のではなく、日本を含む「加盟国が独自の方針で対応する」ことを認めただけです。

 こうした国際社会の変化のなかでもインドは、今後は核実験をしないという約束をせず、IAEAによる核関連施設への査察(保障措置)を全面的には受け入れず、原発増設と核兵器の増産を進めています。

 インドへの原発輸出が可能となった国際原子力産業界は、すでに大規模な原発施設を受注しています。これら各地での原発新増設計画に関しては、情報公開、住民への説明などが全く行われておらず、住民の訴えはことごとく無視され、しかし計画は強行されています。

 これらインドでの原発施設増設には、東芝、日立、三菱重工などが、外国企業との合弁会社や外国子会社を用いて参入を進めています。それは日本から直接のインドの原子力関連への貿易、投資、技術移転ができないためです。

 日本政府は、経済界の強い要求に応じて「成長戦略としてのインフラ輸出」の柱に原発輸出を掲げています。最有望の市場であるインドでの商機を失いたくないとの経済界の要求から、日本政府は原発輸出による経済成長、そして対印原子力協定の締結へ突き進んでいます。

 2010年6月の民主党政権下において、インドとの原子力協定に向けた交渉開始が突然発表されました。その時、被爆地である広島と長崎をはじめ、全国から「核拡散防止よりビジネスを優先するのか」と激しい反対の声が上がり、多数の新聞メディアも反対を掲げました。

 日印交渉は、日本側が「再度の核実験の場合には、協力を停止する」との条件を示し、インドが受け入れを拒絶したため、2010年11月に中断しました。ところが、福島原発事故の渦中にありながら、野田首相は2011年12月のインド訪問での首脳会議において「交渉再開」を約束したのです。しかし、国内での脱原発の動き、インドでの原発反対運動が強まるなか、交渉は停滞してきました。

 インド側は、日本が示した条件の撤回、さらに協定推進を求め、日本を含む国際原子力産業界は強い圧力を続けています。

 2012年12月就任後の安倍政権は、まさに「原発輸出」のトップセールスを進めています。それは、首相みずから各国訪問、原発売り込みを先導し、トルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦との原発輸出のための原子力協定締結に合意しました。また、既に原子力協定が発効したベトナムでは、原発建設協力が進められています。

 シン首相来日にあたり、あらためてさらに強いことばで日本政府を代表する首相に要求します。

 インドとの原子力協定は、戦争被爆国として国際平和の実現に努力してきた日本の誇り、さらに福島原発事故を発生させ、いまだに放射性物質を放出し続ける日本の責任をかなぐり捨てるものです。福島原発では作業員が被曝を強いられ、数えきれない人々が苦しみの中での生活を余儀なくされている時に、懲りもせず原発を輸出しようとする動きを、私たちは絶対に許すことはできません。

 日本政府に対して、インドとの原子力協定締結に向けたあらゆる試みの停止と、交渉停止を要求します。そして、世界への原発輸出を放棄し、福島原発事故からの教訓として、世界に原発の廃炉を主張していくべきです。

 またインドでは、経済成長を求める産業界と大都市住民の電力需要だけが強調され、原発建設計画予定地、南インドのクダンクラム、西インドのジャイタルプールなどでは住民反対運動で治安部隊の弾圧により死者まで発生しています。核兵器と原発の非人道性から目をそらしたインド政府が、各地で原発に反対する人々に対して激しい弾圧を行っていることは許せません。民衆の声を無視すること、情報を隠すこと、民主的な手続きをないがしろにすること、原発推進機関と規制機関がなれあうことが、原発事故の遠因となるのです。

 こうした住民たちの人権無視に荷担することは、日印友好の名を汚すものでしかありません。私たちは、首相がインド政府に対して、原発建設をめぐる住民への暴力的弾圧を一切やめるよう求めるべきだと考えます。

 私たちは福島原発事故を経験し、破局的な原発事故が人々の命や自然に対して何をもたらすのかを、日々まざまざと見せつけられています。

 シン首相には、広島と長崎を訪問して平和資料館を訪れ、被爆者の証言に耳を傾けるよう求めます。原発被災地である福島を訪れ、現在も4基の原発から放射性物質が放出され続ける中で、人々がどのように苦悶しつつ生きているのか、事故収束にあたる多数の労働者がどのような過酷な被曝環境の中で働いているのか、海や森や田畑で何が起きているのかを知る責任がインド首相にはあります。

 チェルノブイリ原発事故と福島原発事故は、原子力発電所が人間の安全で平和な生活を破壊し、民主主義とは相いれないものであることを示しました。福島事故を経験した日本の人々は、政府・産業界による原発輸出に強く反対します。

 私たちは以下のことを要求します。

1. 日印原子力協力協定に向かういかなる話し合いも行わないでください。

1. 福島事故での経験から、危険な原子力発電所の輸出による「成長戦略」を放棄してください。

1.インド政府に対して、インド国内で原発に反対する人々への弾圧の即時停止と、クダンクラム原発の即時閉鎖を求めてください。


【北海道】 岩内原発問題研究会、原子炉メーカーを糾弾する会、脱原発ネット釧路、ネイバーズ、ベクレルフリー北海道、北海道自由エスペラント協会

【青森】 核燃いらないわ三沢の会、核燃から郷土を守る上十三地方住民連絡会議、核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団、核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会、核燃を考える住民の会、花とハーブの里、みらいアクション青森

【岩手】 三陸の海を放射能から守る岩手の会

【宮城】 原発のない未来を地域から作る会、電気通信産業労働組合、みやぎ脱原発・風の会

【福島】 風下の会・福島、原発いらない福島の女たち、脱原発福島ネットワーク、虹とみどりの会、ハイロアクション福島、福島原発30キロ圏ひとの会、福島「農と食」再生ネット、福島バッジプロジェクト、緑ふくしま        

【茨城】 地球カフェ・結、水戸平和フォーラム

【群馬】 足元から地球温暖化を考える市民ネットたてばやし

【埼玉】 熊谷脱原発連帯、市民測定所・うらわ実行委員会、ソーラーネット、脱原発1000万人アクション新座の会、NO NUKES SPINNER'S ACTION、未来の福島こども基金

【千葉】 核燃やめておいしいごはん、グリーンズ千葉、原発いらない!ちば、原発体制を問うキリスト者ネットワーク(CNFE)、原発止めよう!東葛の会、ティナラク織の会「カフティ」、TPPに反対する人々の運動、西田勝・平和研究室、「平和への結集」をめざす市民の風

【東京】 アーユス仏教国際協力ネットワーク、I女性会議、アジア共同行動日本連絡会議(AWC)、 アジア太平洋資料センター(PARC)、アジア連帯講座、APLA、ATTAC Japan、ATTAC Japan(首都圏)、R水素ネットワーク、安保をつぶせ!ちょうちんデモ、今・憲法を考える会、インドネシア民主化支援ネットワーク、APFS労働組合、FoE Japan、ODA改革ネットワーク、女たちの一票一揆、柏崎・巻原発に反対する在京者の会、キノ・キュッヘ、経産省前テントひろば、原子力資料情報室、原水爆禁止調布市民会議、原水爆禁止日本国民会議、原発・核燃とめようかい、原発を考える品川の女たち、憲法を生かす会、国際有機農業映画祭、国分寺で映画を見る会、コトパンジャン・ダム被害者住民を支援する会、子どもの本を楽しむ会、再稼働反対!全国アクション、出帆新社、ジュマ協力基金、商社九条の会・東京 世話人会、ストップ原発&再処理・意見広告の会、全国労働組合連絡協議会(全労協)、先住民族の10年市民連絡会、全石油昭和シェル労働組合、戦争への道は歩かない!声を上げよう女の会、脱原発・東電株主運動、脱原発の日実行委員会、脱原発ポスター展、脱WTO/FTA草の根キャンペーン、たんぽぽ舎、チェチェンニュース編集室、チェルノブイリ子ども基金、東京・生活者ネットワーク、東電株主代表訴訟、東電前アクション!、日刊ベリタ、日本YWCA、No Nukes Asia Actions(NNAA)、はるさえん、反核青年会議、反原発自治体議員・市民連盟、反原労(反原発労働者行動実行委員会)、反戦兵士と連帯する会、ピースボート、ピープルズ・プラン研究所、非戦ユニット・ピーストレイン、非戦を選ぶ演劇人の会、非暴力アクションネット、ふぇみん婦人民主クラブ、福島原発事故緊急会議、プルトニウムなんていらないよ!東京、ふろむあーす&カフェオハナ、緑の党、雪谷十姉妹の会、劣化ウラン研究会

【神奈川】 アジア農民交流センター、外国人への差別を許すな・川崎連絡会議、学校事務職員労働組合神奈川、鎌倉平和学習会、くらしと憲法をつなぐ会、原発に頼らない暮らしの学習会、憲法リテラシー向上委員会、子どもの未来プロジェクト・港北、さよなら原発・神奈川、食政策センター・ビジョン21、時を見つめる会、日本キリスト教団神奈川教区核問題小委員会、NoNukes!野にゆく会、プルトニウムフリーコミニケーション神奈川

【長野】 R-DAN佐久・放射能測定室

【新潟】 柏崎刈羽原発反対地元三団体、さようなら柏崎刈羽原発プロジェクト、脱原発をめざす新潟市民フォーラム

【石川】 志賀原発命のネットワーク

【福井】 森と暮らすどんぐり倶楽部

【岐阜】 各務原こどもの水彩画の会、平和・人権・環境を守る岐阜県市民の声

【静岡】 STOP!浜岡原発、東京電力と共に脱原発をめざす会、なくそう浜岡原発天竜の会、浜岡原発を考える静岡ネットワーク、ピースネット静岡、三島・原発震災を防ぐ風下の会

【愛知】 核のごみキャンペーン・中部、クオータ制の実現をめざす会、在日朝鮮人作家を読む会、<3.11>を考え続ける会・瑞穂、そらとも、<ノーモア南京>名古屋の会、不戦へのネットワーク、緑の党東海、未来につなげる・東海ネット

【三重】 原発おことわり三重の会、「脱原発」を考える市民講座・四日市

【滋賀】 花風香の会、脱原発・滋賀☆アクション

【京都】 アジア共同行動・京都、アジェンダ・プロジェクト、ATTAC京都、イタリア・ピサ&日本・京都、いまこそ原発を問う連続講座、エコリレーかめおか、ODA改革ネットワーク関西、環境市民、関西フィリピン人権情報アクションセンター、きょうと緑の党、グリーン・アクション、原爆と原発を考える京都市民の会、「幸福の経済学」プロジェクトin京都、子どもを守る会・京田辺、ジャビルカ基金、ジュビリー関西ネットワーク、資料センター《雪の下の種》、「脱成長論」研究会、地球ハーモニー、茶水、2007きさらぎの会、反戦・反貧困・反差別共同行動きょうと、ふくしま月明かりの会、平和のテーブル京都、放射能から子どもを守る鷹峯の会、マインドライフメンタルケアルーム、 

【大阪】 あおぎり、AKAY Youth Japan、ATTAC関西グループ、AMネット、大阪此花発!STOPがれき・近畿ネットワーク、大阪教育合同労組・豊中支部、おかんとおとんの原発いらん宣言2011、オールターナティブズ、核のごみキャンペーン関西、クオータ制の実現をめざす会、原発事故を考える高槻市民の会、原発やめよう/つながろう関西・マダム会議、コミュニティサロンふれあいらんど、コリアン・マイノリティ研究会、ジャーニー・トゥー・ザ・フューチャー、STOP原子力★関電包囲行動、ストップ原発の会、ストップ・ザ・もんじゅ、スペースふうら、全港湾大阪支部、全港湾西成センター分会、泉州沖に空港をつくらせない住民連絡会、脱原発へ!関電株主行動の会、たまつくりkafe、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、日本消費者連盟関西グループ、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、はちどり、福島の子どもたちを放射能から守ろう・関西、フリークの女たちの会、平和と生活をむすぶ会、平和と民主主義をめざす全国交歓会、放射性物質拡散NO!の会、放射能から子どもと未来を守る市民の会、放射能防御プロジェクト近畿、毎月26日にランチタイムに関電前に集まる女たち、mame-ten-cafe、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会、未来といのちを守る会、未来といのちを守る会・泉州、未来をつむぐ母の会、モモの家、山田さんを支える会、Yoga House marjarah、労働者共闘、610放射能から未来を守る市民の会、若狭連帯行動ネットワーク

【兵庫】 アジアこどもプロジェクト、イラク平和テレビ局、エスぺラント友の会、関西*母と科学者の会、原子力行政を問い直す宗教者の会、原発事故を考える姫路の会、原発の危険性を考える宝塚の会、玄米ごはんとお茶とお菓子・MOMONGA、神戸国際キリスト教会、後藤玲子法律事務所、新空港反対東灘区住民の会、ソウル・フラワー・ユニオン、花こころ、フィリピンAKAYプロジェクトを共に創る会、ぺんぎんぺり館とおともだち

【奈良】 こどもの未来をまもる会・生駒、Dear Child、奈良こどもの未来をまもる会、奈良アクション、奈良脱原発ネットワーク、大和郡山市平和委員会

【鳥取】 ウラン残土市民会議、えねみら・とっとり(エネルギーの未来を考える会)

【島根】 あと一秒,の会、島根原発増設反対運動、女性のための市民生活講座委員会、魔女の会

【岡山】 子ども未来・愛ネットワーク 

【広島】 インド・パキスタン青少年と交流する会、核兵器廃絶をめざすヒロシマの会、上関原発止めよう!広島ネットワーク、グローバリゼーションを問う広島ネットワーク、原発はごめんだヒロシマ市民の会、真宗遺族会広島地方支部、ソーラー版画協会、脱原発へ!中電株主行動の会、東北アジア情報センター、日本キリスト教会・靖国神社問題特別委員会、NO DU(劣化ウラン禁止)ヒロシマ・プロジェクト、プルトニウム・アクション・ヒロシマ、ボイス・オブ・ヒロシマ、緑の党・ひろしま

【山口】 いのち・未来 うべ、美しい錦川を未来へ手渡す会、海と空を汚さない・山口、原発いらん!下関の会、原発いらん!山口ネットワーク、憲法を活かす市民の会・やまぐち、人権・平和ネットワークうべ、下関の行動とことばをつなぐ「海」、全国一般労働組合全国協議会山口連帯労働組合・連帯労組・やまぐち、田布施町まちづくり研究会、10フィート映画を上映する下関市民の会、被爆二世の会

【香川】 香川連帯ユニオン、脱原発アクションin香川、松見歯科診療所、

【愛媛】 原発さよなら四国ネットワーク、子どもの人権と教科書の問題を考える新居浜の会、宗教者平和の会・今治、まんがら農園、MOX反対伊方の会、八幡浜・原発から子供を守る女の会

【高知】 グリーン市民ネットワーク高知、たちあがる市民グループ@高知

【福岡】 イラク判決を活かす会、環境啓発団体・地球のめぐみ、キリスト者九条の会・北九州、久留米の自然を守る会、原発なしで暮らしたい共同行動、さよなら原発!福岡、さよなら玄海原発の会・久留米、しあわせのたね、曽根九条の会、筑後川水問題研究会、怒髪天を衝く会、バンビの木箱、福岡スピーチクリニック 

【佐賀】 玄海原発プルサーマル裁判の会

【長崎】 古綿工房

【熊本】 熊本・原発止めたい女たちの会、くまもとひなママネット、平成義塾熊本、法泉禅寺

【大分】 草の根の会・中津、脱原発大分ネットワーク

【鹿児島】 9条の会おおすみ、原発なくそう!九州川内訴訟原告団、子どもを放射能から守る会かごしま、自然の灯をともし原発を葬る会鹿児島、川内原発建設反対連絡協議会、川内原発差し止め訴訟原告団、川内つゆくさ会、脱原発だれでも参加できる大隅市民の会、反原発・かごしまネット、ピースアクト出水、まちづくり県民会議、

【フランス】 エコーエシャンジュ、よそものネット

【イタリア】 資料センター《雪の下の種》

【ドイツ】 さよなら原発デュッセルドルフ、Sayonara Nukes Berlin

【イギリス】 放射能から子どもたちを守る世界ネットワーク

【アメリカ】 ノー・ニュークス・アクション・コミッティー、仏法山禅源寺

【フィンランド】 ウラン産業反対アクション、プロ・ハンヒキヴィ

【フィリピン】 MAPALAD KA

(335団体)



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日印原子力協力協定に向けた交渉の停止を求める要望書
                                  
マンモハン・シン首相

                     英文 → http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/122e.htm

 私たちは5月27日からあなたが来日されると聞き、予定される日印首脳会談において日本からインドへの原発輸出を可能にする日印原子力協力協定に向けた交渉がなされることに大きな危惧を抱いています。

 2010年6月、民主党政権下においてインドとの原子力協定に向けた交渉開始が突然発表されました。その時、被爆地である広島と長崎をはじめ、全国から「核拡散防止よりビジネスを優先するのか」と激しい反対の声が上がり、多数の新聞メディアも反対を掲げました。そのとき多くの人々が両国の協定に反対した理由は次のようなものです。
 
 インドは、核拡散防止条約(NPT)に加入しないまま、1974年にカナダから導入した原発技術を用いて核実験を行い、1998年には再度実験を強行しました。包括的核実験禁止条約(CTBT)にも加盟せず、「核保有国」であることを主張しています。また、原子力供給国グループにおいてインドに特例措置を認めるガイドラインの改訂にあたり、今後核実験をしないという約束をしませんでした。自国産の核物質を核兵器製造に転用しないためのIAEAによる査察も部分的にしか受け入れていません。そのような状況下で、原発増設と核兵器の増産が進められています。

 そして今、前述の懸念が放置されたまま、それでも日印政府が原子力協定に突き進もうとしていることに対して、私たちは満身の怒りをもって抗議します。私たちは福島原発事故を経験し、破局的な原発事故が人々の命や自然に対して何をもたらすのかを、日々まざまざと見せつけられています。
 
 シン首相には、広島と長崎を訪問して平和資料館を訪れ、被爆者の証言に耳を傾けるよう求めます。原発被災地である福島を訪れ、現在も4基の原発から放射性物質が放出され続ける中で、人々がどのように苦悶しつつ生きているのか、事故収束にあたる多数の労働者がどのような過酷な被曝環境の中で働いているのか、海や森や田畑で何が起きているのかを知る責任がインド首相にはあります。

 またインドでは、経済成長を求める産業界と大都市住民の電力需要だけが強調され、原発建設計画予定地、南インドのクダンクラム、西インドのジャイタルプールなどでは住民反対運動で治安部隊の弾圧により死者まで発生しています。核兵器と原発の非人道性から目をそらした政府が、インド各地で原発に反対する人々に対して激しい弾圧を行っていることは許せません。民衆の声を無視すること、情報を隠すこと、民主的な手続きをないがしろにすること、原発推進機関と規制機関がなれあうことが、原発事故の遠因となるのです。

 原子力はまぎれもなく斜陽産業であり、民主主義とは相いれないものです。福島事故を経験した日本の人々は、日本から海外へ原発が輸出されることに強く反対しています。私たちは以下のことを要求します。

1. 日印原子力協力協定に向かういかなる話し合いも行わないでください。

1. インド国内で原発に反対する人々への弾圧を即時停止してください。

1. クダンクラム原発の稼働を断念し、即時閉鎖してください。

1. 原発を輸入して新増設を行うことを止めてください。


日本原子力産業協会ウェブサイトのインド地図には、 中央左のミティビルディと中央右のコバーダに、「WEC(ウェスチングハウス社、つまり東芝)か、GE日立 」とあります

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