クダンクラム原発反対運動への弾圧に対する抗議声明

マンモハン・シン首相へ

 2012年9月10日、インドのクダンクラム原発反対運動に対して大規模な弾圧が加えられました。原発の稼働に反対して、また間近に迫った燃料棒の装荷に反対して、数千人の人々が平和的に原発の周辺で声をあげていたときに、この弾圧事件が起きました。

 テレビには、多数の女性や子どもたちを含む平和的な住民たちに対して、催涙ガスが次々に発射され、武装警官隊が棍棒を振り回しながら突入する様子がはっきりと映し出されていました。武装警官隊と海にはさまれて、女性や子どもたちが叫びながら、涙を浮かべながら必死に足もとの砂を両手ですくって警官に投げつけて応戦していました。2人が亡くなり、多数の負傷者が出ました。これが、民主国家のすることでしょうか?

 これが原発の本質です。非暴力の人々に襲いかかり、子どもたちに催涙弾を浴びせてまで遂行しなければならない仕事は、この世に存在しません。

 私たちは、広島、長崎を経験しながら、小さな国に50基以上の商業用原発のみならず高速増殖炉、使用済み燃料の再処理工場まで建設してしまいました。メルトダウンした4基の原発の収束作業は、100年たっても終わらないと言われています。原発事故で被害を受けた人々の苦しみは、筆舌に尽くしがたいものです。放射能によって子どもや若者の未来にもたらされた暗い影は、消えることはありません。インドは今、その苦しみを自国の民衆の上にもたらそうとしているのです。
 
 インド政府は、そのような日本の体験に耳を傾けなければなりません。にもかかわらず、インド政府は、あろうことかクダンクラムの人々に連帯して平和的にインドを訪れた日本人3人を「容認しがたい人物」と決めつけ入国拒否としました。私たちは、このような脅しには絶対に屈しません。命の価値を尊ぶ人々が、自らの意思で立ち上がり、国境を越えて手をつなぎ合い、励まし合うことが、政府にとって脅威だと知っているからです。

 インド政府が核プログラムに関してこれほどまでに秘密主義を振りかざすことが明らかとなった今、福島事故を経験した私たちは、日本からインドへの原発輸出を絶対に容認することはできません。私たちは、インドと日本の間で議論されている「日印原子力協力協定」に断固反対します。

・9月10日の弾圧に関して、事実関係を調査し、人々に謝罪することを要求します。
・クダンクラムの人々の基本的かつ正当な要求を受け入れて対話を再開してください。
・原発に関する自由な議論を妨害するあらゆる行為をやめてください。

          2012年9月27日
                        ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン

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