ノーニュークス・アジアフォーラム通信 号外 (04年2月3日)より

プアンのたたかいは
巻とつながっている

      
鈴木明(ソウル在住)


1月25日、「プアン放廃場誘致 参・反 住民投票管理委員長」名で、自主住民投票の公示が行われた。

投票日時は、2月14日(土)、午前6時から午後6時まで。投票権者は、1月25日現在、プアン郡に住民登録している者で、1984年2月14日以前に生まれた者。

公示により、1月25日から2月13日までの20日間、自由に誘致賛成・反対の運動を展開できるが、夜間の集会・戸別訪問は禁止とされた。(これによりキャンドル集会は、183日を迎えた1月24日で、一時中断となる)。


   住民投票を前にした最後のキャンドル集会   1月24日(183日目

また、邑・面(村・町)別の討論会が13回、郡単位の合同討論会が4回、賛成・反対それぞれの邑・面別の説明会が13回ずつ保障される。

住民投票の結果の確定については、過半数の得票を確定とする。ただし、有効得票数が可否同数、または投票率が3分の1未満のときは、いずれも選ばないものと見なす。

この結果は、開票が終わると同時に集計され、住民投票管理委員会名義で発表される予定だ。

またその結果について、政府が住民の意志を尊重し、投票の結果に現れる多数住民の意思の通り核廃棄場問題に決着をつけることを求めている。

住民投票管理委員会が作成した住民投票に関する「Q&A」の中では、外国に似たような事例はあるかとの問いに、1995年の新潟県巻町の住民投票をめぐる住民の取り組みを紹介している。

この日、「プアン放廃場誘致 参・反 住民投票管理委員会」の事務所開きが行われ、パク・ウォンスン委員長(美しい財団常任理事)、ハ・スンス事務所長(弁護士)、プアン核廃棄場対策委関係者と住民等、100人余りが参加した中、13の邑・面別に選ばれた管理委員に住民投票管理委員会の委嘱状が授与され、住民投票の公示文が掲示された。

開所式でパク委員長は、「日本でも原子力をめぐった地域の論争があったが、住民の自発的な投票で葛藤を治め解決する模範的な事例があった」として住民投票の民主的な手続きを強調した。

そして「現在、プアンの住民投票は政府によって進められているのではないが、全国の市民社会団体の主要な指導者が参加してくれている。政府に劣らぬ道徳的権威を持ち、住民投票がしっかり行われ、公正になるよう努める」と住民の協力を頼んだ。

自主住民投票の適法性をめぐっては、「民主社会のための弁護士会(民弁)」が1月19日に声明を出し、「現在プアンで進められている住民投票は、憲法が保障する国民の基本権として保障されるものであり、現在このような住民投票を禁止するなり制約するいかなる法律もないため、全的に合法的なもの」だと明らかにした。

民弁は、「住民投票は、地域に重大な影響を及ぼす問題について、地域住民の意思を集めるため実施するもので、世界各国で住民の直接参政の手段として認められている」とし、「政府が住民の意思を取りまとめる意思がない場合には、住民が自ら住民投票を組織して、独自に行ったりもする」と、日本で行われたことのある住民独自の住民投票例を挙げて説明した。

それによると、日本では「自主管理住民投票」「事実上の住民投票」と呼ばれ、1995年に新潟県巻町で行われた。巻町では原発建設についての住民投票実施を拒否した自治体の長をリコールするため、住民の署名が起こるや、自治体長が辞任したことがある、と紹介された。

日本で取り組まれた住民の手による住民投票の事例は、プアンで進められている『独自の住民投票』を大きく勇気づけている。

一方、誘致賛成側は、自主住民投票の否定に躍起になっている。1月26日、プアンに核廃棄場を独断で誘致したキム・ジョンギュプアン郡守が記者会見し、「住民投票法が発効する前であり、自治体長が実施するのでない住民投票は明白に不法」と、自主住民投票を阻止することを明らかにした。

また、誘致賛成側の「プアン郡国策事業誘致推進連盟」は同日、郡主の立場表明を受けて、郡民1438人が署名した「住民投票禁止仮処分申請」を全州地裁チョン邑支部に提出した。

賛成側の論拠は、2003年12月29日に国会を通過した住民投票法が、6ヶ月程度の準備期間をおき、2004年7月から発効することに基づいている。

誘致の立場であるカン・ヒョンオク全羅北道知事が主張している「7月以後、他の自治体の誘致申請も受けて、9月か10月に住民投票を実施」は、政府の立場でもあり、「7月以降の住民投票実施」は誘致側の一致した見解となっている。

賛成側の仮処分申請に対し住民投票管理委員会は27日声明を出し、「投票禁止仮処分申請に堂々と対応する」とし、「仮処分申請が裁判所により棄却されたら、賛成側は一切の投票妨害行為を止め、投票に参加せよ」と主張した。

住民投票管理委員会は、「自主住民投票は、日本のみならず韓国内でも2000年に京畿道コヤンで住民が独自に投票した事例がある。コヤン住民は2000年9月5日、超高層住商複合建物の新築をめぐり自主住民投票を実施したが、その適法性は問題にされなかった」と、賛成側の不法との言いがかりを一蹴した。

仮処分についての裁判所の判断は、2月9日に示される予定である。



ノーニュークス・アジアフォーラム通信 号外もくじ
(04年2月3日発行)B5版12ページ   

●15日プアン郡民5千余名、住民投票宣布式
●プアンのたたかいは巻とつながっている (鈴木明)
●住民投票をひかえたプアン住民たちの多様な表情
●プアン論争は自主住民投票で終息させよ(キム・スンファン)

****************************************************************
見本誌を無料で送ります。ココをクリック
年6回発行です。購読料(年2000円)
****************************************************************

[目次へもどる]