《声明》 原発輸出を促進し、原子力ビジネスを手厚く保護する「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)のあまりに拙速な国会承認に抗議                   2104.12.6
   英文 http://www18.ocn.ne.jp/~nnaf/131e.htm


11月19日、「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)への加盟が国会で承認されました。

安倍政権による衆議院解散の日程に合わせて、多くの問題を議論せぬまま、日程を前倒しにして進められた本日の採決に、強く抗議します。

本条約は、福島原発事故の教訓を踏まえないまま、原発輸出を促進するものです。
具体的には、以下の問題点が挙げられます。

.原発メーカーの賠償責任を免責されること。結果として、原発輸出が促進されること。

.一定額以上の原子力損害賠償を国際的に支援する枠組みであること。これによって、事故を起こした原子力事業者に利すること

.「1.」「2.」の結果として、原子力ビジネスに携わる主体が、利益のみを得てリスクをとらずにすみ、モラルハザードが引き起こされ、原発輸出が加速されること

.原子力損害賠償の項目に一定の制限がかけられ、多岐にわたる原子力損害賠償が支払われない可能性があること

.日本の原子力損害賠償法で採用されている「無限責任」(いかなる額になろうとも原子力事業者は賠償を支払わねばならない)原則が採用されておらず、損害賠償額に一定の上限が設けられる可能性があること

.原発事故が国境を越えて広がるのにもかかわらず、裁判管轄権が事故発生国に集中されるため、原発事故を起こした当該国でしか裁判を行えないこと

.「4~6」の結果として、原子力事故の被害者が保護されないこと

東京電力福島第一原発事故においては、原賠法(原子力損害の賠償に関する法律)による責任集中原則により、東電が一義的な賠償義務を負っていたのですが、実際は、「原子力損害賠償支援機構」という仕組みにより、そのツケは、消費者や納税者が負うことになってしまいました。

このような「無責任」体制を国際的に広めるのがこの条約です。

原発はそれだけ危険で、非効率な発電システムであり、公的な手厚い保護なしには成り立たないのです。

この国会での拙速な審議も、国会が国際的な「原子力村」の便宜を図っているとしか見えません。

いまだに収束のめどがたたない福島第一原発事故。多くの人たちが故郷を失いました。日本が輸出するべきなのは、この反省に学び、持続可能なエネルギー構造を実現させるための知恵や仕組みや哲学ではないのでしょうか。

私たちは引き続き、多くのみなさまとともに、福島原発事故の教訓を踏まえ、原発輸出に反対していきます。

<呼びかけ団体>国際環境NGO FoE Japan、グリーン・アクション、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン

<賛同団体> 47団体 東北アジア情報センター、グリーンフォレスト関西、東京労働安全衛生センター、憲法を生かす会、ふくしま地球市民発伝所、核のごみキャンペーン・中部、日本友和会(JFOR)、R水素ネットワーク、樹花舎、虹とみどりの会、緑ふくしま、資料センター《雪の下の種》、No Nukes! 野にゆく会、能登原発防災研究会、広島瀬戸内新聞、原発の危険性を考える宝塚の会、オールターナティブズ、日伊の架橋-朋・アミーチ、NPO法人NNAA、原発メーカー訴訟の会、原発やめよう・つながろう関西/マダム会議、よつ葉ホームデリバリー京滋、原発を考える品川の女たち、日本熊森協会 滋賀支部、原発メーカー訴訟の会、ベクレルフリー北海道、国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、ドイツ『登録公益社団法人』 さよなら原発デュッセルドルフ、未来につなげる・東海ネット、ふぇみん婦人民主クラブ、神奈川 核問題小委員会、原発いらない福島の女たち、脱原発の日実行委員会、日本キリスト教協議会平和・核問題委員会、絆ジャポン、地方自治を考える市民の会、反原発の会 あくね、財団法人京都YWCA、「平和への結集」をめざす市民の風、川内原発再稼動に疑問を持つ出水市民の会、美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)、さよなら原発神戸アクション、ノーニュークスアクション、脱原発 明石・たこの会、高木仁三郎市民科学基金、原発体制を問うキリスト者ネットワーク
 
[目次へもどる]